【進化を続けた伝説の1台】フェラーリ250テスタ・ロッサ ル・マンでの優勝 後編

公開 : 2020.05.24 20:50  更新 : 2020.12.08 11:04

フェラーリによるレース・プログラムの中心

トランスミッションにも驚かされた。軽快で扱いやすい、ロータスのものより少し重い。アストン マーティンのフィーリングにもにているが、充分にフルードの温度が上がると、重さは変わらないものの精度が増す。

9月のグッドウッドでオーナーにお会いした時、このテスタ・ロッサは見かけによらず運転が簡単だと聞いていた。当時のレーサーの超人的な持久力にも敬服するが、確かにテスタ・ロッサはドライバーに優しい。

フェラーリ250テスタ・ロッサ(1959年)
フェラーリ250テスタ・ロッサ(1959年)

とてもドライバー・フレンドリーで、速度が増しても気難しさが顔を出すこともない。クルマの状況のすべてを、シャシーを通じて教えてくれる。ドラマもなく落ち着いている。シンプルに運転すれば良い。

短いストレートでは、12気筒エンジンから賛美歌のような歌声が耳に届く。神につかえる聖歌隊が、精一杯合唱しているようだ。息を呑まずにはいられない。

1960年にル・マンを制したシャシー番号0774のフェラーリ250TR。エンツォ・フェラーリのレース・プログラムの中心にあったマシンは、この0774だといえる。

1950年代半ばの成功から、1960年代前半までの時間をかけて戦闘力を高めていった。小さな改良を繰り返し、優勝を掴めるマシンへと進化していったのだ。

フェラーリ250テスタ・ロッサこそ、モータースポーツ史の中で最も偉大な時代に誕生した、最も偉大なレーシングマシンの1台。卓越したワークス・レーシングチームが生み出した、伝説といって間違いないだろう。

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