【5.2L V12か2.0L 直4か】ジャガーXJ-Sとロータス・エリート 1970年代のGT 後編

2020.06.06

サマリー

ジャガーXJ-Sとロータス・エリート。排気量や容姿は異なる2台ですが、共通する内面を備えているとするのは英国編集部。誕生から50年も近づいてきた、少しいびつな構成が与えられたグランドツアラーを比較しました。

もくじ

V12エンジンの静かなハミング
大人も座れるエリートのリアシート
初めの1年で4万8000kmを走った
穏やかでバランスの良いXJ-S
良いクルマとするための条件
2台のスペック

V12エンジンの静かなハミング

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1978年製の大きなジャガーXJ-Sへ座ると、レザー張りの小さな空間に包まれる感じがする。いくつかのメーターと警告灯クラスターが納まるダッシュボード。提案で終わった、2速リアアスクルのインジケーターが収まる可能性もあった。

シートは細身で現代的。ジャガー風のセミアームチェア・タイプではない。当時ドライビングポジションが非難された理由は、何だったのだろう。

ジャガーXJ-S(HE型以前/1975年−1980年)
ジャガーXJ-S(HE型以前/1975年−1980年)

低い唸りのスターターが回り、V12エンジン特有のハミングが交代で響き出す。レブカウンターを見ないと回転数がわからないほど、静かで滑らかだ。

ほかのV12エンジンとは異なるサウンド。自然吸気のメカニカルな雰囲気で、加速を求めてしまう。スムーズな振る舞いのまま、XJ-Sは先を急ぐ。

6000rpmめがけて回転数を上げない限り、重厚なトランスミッションからのメカノイズの方が、エンジンのハミングより耳に届く。XJ-Sはクリーミーに道路を進む。加速感は、予想に反して穏やかだ。

クラッチは軽く、シフトチェンジも忙しくない。トップギアに入れて、太いトルクに任せて、滑らかで正確なスロットルレスポンスを楽しむ。

一方、今回のロータス・エリートは1980年以降のクルマで、エンジンはタイプ912と呼ばれる2.2L。大きいフロントスポイラーとテールランプが見た目の違いだが、エンジンは期待以上に柔軟だった。

大人も座れるエリートのリアシート

太くフラットなトルクカーブのおかげで、4速、32km/hからフルスロットルの加速も受け付けてくれる。ゲトラグ製の5速MTは扱いやすく、変速操作は苦ではない。

オースチン・マキシ由来の2.0Lユニットより印象は優れている。7000rpmまで引っ張れば、2速で96km/h、3速で133km/hに届く。

ロータス・エリート(1974年−1982年)
ロータス・エリート(1974年−1982年)

XJ-Sよりさらに低いエリートは、太いCピラーのおかげで、斜め後方の視界が悪い。XJ-Sと同様に。パッケージングには優れ、膝は立て気味になるが、大人も優れるクッションの効いたリアシートが備わる。ジャガーの方は、あくまでも子供向けといったところ。

珍しいフルレザーの内装が、エリートの車内の雰囲気を彩る。高級なリビエラ仕様で、ルーフパネルは持ち上げることが可能だ。リアシートの後ろにはガラス製のデバイダーが入り、ガソリンや排気ガスの匂いを防いでくれる。

水色のエリート・オーナー、アンガス・ワトソンはロンドンの西、ストラウドに住む、もとエンジニア。6才の頃からジム・クラークのファンとなり、今も情熱は冷めていない。

「わたしは、英国北東部の街で育ちました。学校の教科書にはロータス・ヨーロッパのいたずら書きをしていました。コーリン・チャップマンの空気力学やプラスティック技術、エレンガントなシンプルさに、すっかりのめり込んだのです」 と振り返るワトソン。

 
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