【現行BMW製モデルのベスト】BMW M2 CSへ試乗 F87型のグランドフィナーレ

公開 : 2020.06.28 10:20  更新 : 2020.06.28 18:14

モデル末期のM2へ、CSが登場。価格は上乗せされていますが、走る楽しみもしっかり上乗せできているようです。秀逸なM2コンペティションを超えることは可能だったのか、英国編集部がドイツのサーキットで評価しました。

M2コンペティションと明確な差別化

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
初めにうち明かそう。今回ご紹介するBMW M2 CSは、現在のBMWが生産するモデル群で、最高のドライバーズカーだと思う。ただただ、素晴らしい。

丸1日、ドイツのサーキットでF87型のM2 CSをドライブすることが許された。新車で手に入るBMW製モデルの中で、M2 CSに匹敵するパフォーマンスとバランス、純粋さを融合させたものはない。断言できる。

BMW M2 CS(欧州仕様)
BMW M2 CS(欧州仕様)

初代M4にもCSが存在した。このクルマも同じ哲学を備えている。2021年には第2世代となるM2の登場が予定されている。M2 CSは、F87型のグランドフィナーレを飾るにふさわしい。

生産台数は限定ではないそうだが、現行のF87型のM2は2020年9月に生産を終了してしまう。英国での価格は7万5320ポンド(994万円)。標準のM2コンペティションより2万3895ポンド(315万円)も高い。

決して安い金額ではない。でも、最大のライバルとなるであろう、ポルシェ718ケイマンGT4は、7万5348ポンド(994万円)の値札が付いている。

上乗せされた価格が、進化した運動性能だけに投じられたわけではないことが、実車のM2 CSを見ればわかる。M2コンペティションと明確な差別化を図る、高そうな部品が惜しみなく装備されている。

例えば、カーボンファイバー製のスプリッターを備える、新デザインのフロントバンパー。大きなエアインテークが口を開く、カーボンファイバー製のボンネット。ルーフもカーボンファイバー製。これらは、レースマシンのM2 GT4と共有する部品だ。

エンジンは名機、ストレート6のS55型

大きなカーボンファイバー製リアスポイラーにリアディフューザー、軽量な鍛造19インチホイールもわかりやすい装備。タイヤはミシュラン・パイロット・スーパースポーツか、今回の試乗車のようにサーキット前提のパイロット・スポーツカップが選べる。

見た目のバージョンアップでアグレッシブさを増しただけでなく、ダウンフォースもしっかり増えている。BMW M部門の開発を率いるディルク・ヘッカーによれば、走行時のリフトは200km/hでゼロになるという。

BMW M2 CS(欧州仕様)
BMW M2 CS(欧州仕様)

「高速域での落ち着きに優れる品質」 とディルクが表現するモデルに仕上がっている。一方で車重は軽くなっていない。M2 CSの車重は1575kgで、M2コンペティションと同値だという。

搭載される直6エンジンは、新しい動的性能を構成する核の部分。基本的にはかつてのM3や初代M4と同じ、S55型と呼ばれるユニットで、エギゾーストシステムが新設計になっている。

ツインターボで加給される3.0Lのストレート6は、最高出力450ps/6250rpmと最大トルク55.8kg-m/2350-5500rpmを発生。M2コンペティションと比べると最大トルクは同値だが、最高出力は40ps増強された。

組み合わされるトランスミッションは6速MTか、試乗車のように7速デュアルクラッチATが選べる。どちらも後輪駆動だ。M2 CS専用設定の、電子制御アクティブMディファレンシャルを搭載する。

デュアルクラッチATの場合、パワーウエイトレシオは285ps/tになる計算。M2コンペティション比で24ps/tのプラスだが、ケイマンGT4の場合は、269ps/tとさらに上。4.0Lの水平対向6気筒は、420psと42.7kg-mに留まるのだが。

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