【相次ぐ中止と廃止】旧来型の欧米モーターショーは2016年にすでに限界 バンコク形式ヒント? 東京も課題

公開 : 2020.07.20 09:25

自動車業界ではモーターショー不要論が高まりつつあります。その背景には、コロナウイルスだけでなく、コストに対する「見返り」が大きくないことがあります。いっぽうバンコクは珍しい形式。ヒントを見出します。

注目車、相次いでオンライン発表

text:Kenji Momota(桃田健史)

新車の発表はオンラインが当たり前。

気が付けば、そんな時代になっていた。

日産アリア発表時のようす。日産本社近くの期間限定施設「日産パビリオン」で、事前に収録した内容をしっかり編集した上で紹介。
日産アリア発表時のようす。日産本社近くの期間限定施設「日産パビリオン」で、事前に収録した内容をしっかり編集した上で紹介。    日産

例えば、2020年6月24日の日産キックス。横浜グローバル本社からライブ中継っぽい雰囲気を優先しながら、研究開発拠点と本社の様子を結んだ。

続く7月13日のEV「アリア」では、日産本社近くの期間限定施設「日産パビリオン」で、事前に収録した内容をしっかり編集した上で紹介した。

海外では、7月13日のフォードブロンコが画面にはフォード関係者が登場せず、プロモーションビデオのような手法をとった。

こうしたオンライン会見でもメディアでの扱いは大きく、また先行受注を確実に得られているとして、自動車業界ではモーターショー不要論が高まりつつある。

一方、東南アジアでは、タイのバンコクモーターショー2020(7月15日~26日)が開催され、SUVのトヨタカローラ・クロスなどが世界初公開された。国際自動車工業連合会(OICA)が認定する国際格式としては2020年初の大規模ショーとなった。

タイでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が他の国と比べると比較的少なく、外出禁止令が解除されてからも感染第二波の兆候も大きくないことから、一般来場者を入れての通常モーターショーとして開催が可能となった。

だが、開催した背景には別の理由もある。

バンコクショー、実売のためのショー

筆者(桃田健史)はこれまで、何度もバンコクモーターショーを現地取材してきたが、ショーの特徴を挙げるとすると、徹底した即売システムだろう。

トヨタ、ホンダ、日産、三菱マツダスズキいすゞ、フォード、GM、タタなど各社の展示ブースには、東京モーターショーのように説明員が常時待機している。

バンコクモーターショー
バンコクモーターショー    バンコク・インターナショナル・モーターショー

東京の状況と違うのは、その説明員が販売員も兼ねているということだ。

来場者は、単にショー展示車を見に来ているのではなく、実際に新車を購入しに来ているのだ。

ウリになっているのは、モーターショー限定仕様車だ。カーナビやアクセサリーなどを盛り込んでお得な価格を設定する。フルモデルチェンジしたばかり、または新たに誕生したモデルについても、こうした特別仕様車が設定される場合が多い。

説明員兼販売員との話がまとまると、来場者は各ブース内に設けられた商談スペースに移り契約する。

大手メーカーの場合、説明員兼販売員は100人以上の体制を敷き、ショー開催中に数千台の新車をさばく。

こうしたバンコクショーの手法は、メーカー側としてはショー出展に対するコストパフォーマンスを明確化できる。ショーは金を生む。

だが、自動車メーカー各社の関係者は「バンコク型の実施は東京を含めて欧米ショーでは難しい」と言い切る。

なぜか?

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