【販売不振の不思議】アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオへ試乗 MC

公開 : 2020.08.11 10:20

アルファ・ロメオ製4ドアサルーンの高性能仕様、クアドリフォリオ。モデル中期のマイナーチェンジによって、訴求力の高いドライビング体験はそのままに、インテリアに改良を受けました。一般道で英国編集部が評価しました。

25年ぶりのアルファ・ロメオ製の後輪駆動

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
早いもので、復調傾向のアルファ・ロメオが4ドアサルーン、ジュリア・クアドリフォリオを世に放ってから4年が経過した。ワクワクした読者も多いことだろう。25年ぶりの、アルファ・ロメオ製の後輪駆動モデルだったのだから。

極上の、正真正銘のドライバーズカーだった。近年のアルファ・ロメオでも、最高と呼べるクルマに仕上がっていた。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

高い評価を集めたものの、バラ色の4年間とはいえなかったようだ。欧州でも北米でも、販売は伸び悩んでいる。

新開発のジョルジオ・プラットフォームを共有するSUV、ステルビオも、期待通りの売れ行きは示していない。アルファ・ロメオは、2023年までに7種のモデルを開発する計画を立てていた。しかし、大幅削減を迫られてしまった。

カリスマ的な影響力を持っていた、前CEOのセルジオ・マルキオンネのもと、親会社であるフィアットクライスラー・オートモービルズから数十億ポンド(数千億円)の投資も受けている。憂慮されるべき状態だ。

グループPSAとの合併で、事態は好転するかもしれない。気になるところだ。

多くの期待のかかったジュリア。アルファ・ロメオは、クアドリフォリオにモデルライフ中期のマイナーチェンジを与えた。カンフル剤となるだろうか。

目立った変更点は、タッチモニター式のインフォテイメント・システム。高度な運転支援システムも、フルセットと呼べる内容で実装された。内装の質感も、従来以上に高められている。

出色のクアドリフォリオの走り

アクラポビッチ製のエグゾーストシステムと、カーボンファイバー製のルーフも、オプションとして選択できるようになっている。あいにく今回の試乗車は、どちらも装備していない。

オプションは付いていなくても、ジュリア・クアドリフォリオは従来どおり、出色だ。鮮烈な動的性能を備えているが、高速道路でやり過ぎと感じるほどでもない。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

レブカウンターの針が3000rpmほどを指していれば、ターボラグはほぼゼロ。アクセルペダルを踏み込めば、力強い加速をレブリミッターに当たるまで、一定して得られる。

冷たい感触の、美しく削り出された金属製シフトパドルを弾いて、変速せずにはいられない。シフトセレクターをマニュアルモードに入れる。

シフトパドルに振れるやいなや、エグゾーストの活発なサウンドが変化する。アルファ・ロメオ製の8速ATから、適度に力強いキックが背中に伝わる。次のレシオへ、すかさず変わる。

DNAドライブモード・セレクターを動かし、「D」のダイナミック・モードを選ぶ。フェラーリ由来といわれるV6エンジンからも、素晴らしいサウンドが響く。厚みのあるメカニカルノイズは、秀でたパフォーマンスを誇示するかのようだ。

エンジンの回転数が増すほどに、唸り声が大きくなる。だが、オペラのクライマックスのような響きではない。ドラマティックな変化でもない。オプションのアクラポビッチ製エグゾーストに、追加投資する価値はありそうだ。

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