【コンパクトなのに上質】プジョー208 GTライン 新型を日本試乗 100ps仕様の評価は?

公開 : 2020.08.21 19:02  更新 : 2021.10.09 23:31

新型プジョー208「GTライン」を、日本で試乗。100psの直3ターボを搭載。欧州仕様の130ps車と、印象が大きく異なるようです。フルモデルチェンジ車の走り、乗り味、インテリアの出来をレポートします。

最新の208 どんなクルマ?

text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)
photo:Toshikazu Moriyama(森山俊一)

ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないが、「最新の×××は最高の×××」という決まり文句を裏切らないという意味で、205以降のプジョーの2シリーズは、ポルシェ911みたいな存在、そういい切れる。

雲上スポーツカーに対して、「下町のナポレオン」的な気やすさはあるとはいえ。

プジョー208 GTライン(日本仕様)
プジョー208 GTライン(日本仕様)    森山俊一

代替わりしても、その車種独自の「らしさ」というか矜持が失われていないクルマは、スポーツカーでいう911の他に、Cセグ・ハッチバックならVWゴルフ、Dセグ・サルーンならBMWの3シリーズぐらいだろう。

そしてBセグ・ハッチバックではポロでもヤリスでもフィットでもなくプジョーの20X、今回でいう2世代目の208が、そういう存在なのだ。

余談だがアウディTTはそうなれそうな1台だっただけに、今世代でディスコンしてしまうのが惜しい。

昔からの名前で長いこと出ています、だけが必要条件ではない。カローラクラウンに同じものを感じられるかといえばさにあらずだし、先に挙げたいずれのドイツ車勢も大きく重くなって前世代との繋がりが怪しくなりかけている。

ところが新しいプジョー208は、1160~1170kgというBセグ・コンパクトにふさわしい絞られ具合で現れた。いかにも運動神経のよさそうなプロポーションに、小生意気そうな顔つき。

余計なことをせずともそうなるという、十分条件で成り立っている1台なのだ。

控えめスペックの日本仕様、好感触

昨年ポルトガルで行われた国際試乗会で初めて乗った時は、今次の208は端的にいって「ずいぶんゴツくなった」という印象だった。

130ps/23.5kg-m版という現状で最強スペックのパワートレインを積んだ「GTライン」だったのだが、とにかく足回りのキャパがデカいというか、「大入力上等」的な固さで、しなりはするが美味しいところを引き出すのに気合が要る、そんな感じだったのだ。

プジョー208 GTライン(日本仕様)
プジョー208 GTライン(日本仕様)    森山俊一

ところが今回、初めて相まみえた日本版のGTラインは、いい意味で手ごたえが違っていた。

本国ではすでに1年近く販売されているので、生産もこなれて改良も加わっているのだろうか、徐行域でも脚の動きがしっとりしており、段差でも角のとれた乗り心地がグッド・サプライズだった。

しかも、1.2Lターボのピュアテック100ps/20.9kg-mというスペックが、日本仕様として発表された当初はアンダーパワー過ぎないかと心配したが、まるで杞憂だった。

やはり元の車重の軽さに優るものはない。首都高の登り坂合流路で加速する場面も、こちらが虚を突かれるほど鮮やかにこなしてくれる。

もりもりではないが必要にして十分なトルク感で、2000rpm手前から3000rpm過ぎまで、ヴロロっと軽快なエグゾーストノートを響かせて引っ張り上げるのも心地いい。

3気筒とは思えない音質だし、さすが何度もエンジン・オブ・ザ・イヤーを獲っているだけある。この排気量でこれだけの働きをするパワーユニットは実際、他ではお目にかかれないほどだ。

記事に関わった人々

  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。

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