【オークションで4.5億円】フェラーリ550 GT1、高額落札 そのワケはヒストリーにあり FIA GT参戦マシン

公開 : 2020.08.24 06:50  更新 : 2021.10.11 09:34

海外オークションで、意外なフェラーリが4.5億円で落札。レース好きには馴染みのある「プロドライブ」が手掛けたFIA GTマシンです。ベースは「550マラネッロ」。高額落札のワケを分析します。

フェラーリのGTマシン モントレーの目玉に

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:Remi Dergegen/RM Sotheby’s

コレクターズカー・オークションの頂点に位置し、以後の相場に多大な影響を与えてきたのがRMサザビーズ主催のモントレー・オークションだ。

今年はコロナ禍の影響からオンラインで開かれることになり、シフト/モントレーと題されてウェブ上で行われた。

北米のクルマの祭典「モントレーカーウィーク2020」は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止。中心イベントの1つ、RMサザビーズの競売は、ウェブ入札で開催された。そこで、オンライン・オークションの最高額を記録したのがこのクルマ。
北米のクルマの祭典「モントレーカーウィーク2020」は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止。中心イベントの1つ、RMサザビーズの競売は、ウェブ入札で開催された。そこで、オンライン・オークションの最高額を記録したのがこのクルマ。    Remi Dergegen/RM Sotheby’s

古今東西のコレクターズカー108台が出品されたシフト/モントレー・オークションは、実車が見られないオンラインでの開催だったが、最終的な落札率は74%と好調で、入札者もウェブでの入札に慣れてきたようだ。

とはいえ何億円もする高額な車両となると、自身の目で確認しないと不安が付きまとうもの。

主催するRMサザビーズもその点は承知しており、詳細な鑑定と現状を細かに画像で紹介することにより、入札者の不安を払拭する努力がなされている。

こうした中で開かれたシフト/モントレー・オークションで、最高落札額を記録したのは意外なクルマだった。

その名は、フェラーリ550 GT1プロドライブ! プロドライブが手がけたレース用マシンだ。

プロドライブが作ったフェラーリ

フェラーリは創業して以来自社でマシンを製作してレースを闘ってきた。

F1マシンはもちろん、スポーツ・プロトタイプ・マシンやGTマシンも然りだ。

RMサザビーズ・シフト/モントレー・オークションに出品されたフェラーリ550 GT1プロドライブ(S/N:CRD 02/2001)。
RMサザビーズ・シフト/モントレー・オークションに出品されたフェラーリ550 GT1プロドライブ(S/N:CRD 02/2001)。    Remi Dergegen/RM Sotheby’s

1980年代からは、協力関係にあるパドーヴァのミケロットが288GTOエヴォ、F40 LM、333SPなどのレーシング・マシンを担当してきた。

1997年から始まったFIA GT選手権は、過激すぎるGT1カテゴリーから主要メーカーが撤退して破綻したことから、再び市販GTカーをベースにしたマシンで闘われることになる。

シリーズのプロデューサーからFIA GT選手権の再建構想を受けてプロドライブで製作されたのが、フェラーリ550 GT1なのである。

日本で「プロドライブ」と聞くと、スバルと組んでWRCを制覇したレース集団というイメージが強いだろう。創設者のデビッド・リチャーズはアリ・バタネンのコ・ドライバーとしてWRCを闘い、引退後は慣れ親しんだラリーに加えレース用マシンの製作からチーム運営までを行う優勝請負人という評価を得ている。

WRCは当初BMW M3で闘い、グループA規定がスタートした1987年のツールド・コルスではM3で優勝。1990年からスバルと組んで頂点に上り詰めたのはご存知のとおり。スバルの撤退後はBMWミニで参戦していた。

ツーリングカー・レースではBMWに始まり、ホンダフォードと組んで成功を収める。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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