【狙い目グレードは?】トヨタ・ヤリス・クロス試乗 ガソリン/ハイブリッド/4WD性能を評価 どっちがオススメ?

公開 : 2020.09.24 05:50  更新 : 2021.10.09 23:25

小型SUVの新モデル「トヨタ・ヤリス・クロス」に試乗。内燃/ハイブリッド、各4WD仕様を比較しました。オフロード性能も検証。悪路走破性、コストパフォーマンスによって、おすすめの仕様を考えてみましょう。

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

市販プロトタイプ試乗記でも述べたとおり、ヤリス・クロスは欧州Bクラス市場を主ターゲットに開発されたヤリスを母体に発展したコンパクトSUV。

ホイールベースは10mmしか違わないが、リア・オーバーハングの延長と高全高化により後半部を中心にキャビンを一回り拡大している。

トヨタ・ヤリス・クロス・ハイブリッドZ(ブラックマイカ×ホワイトパールクリスタルシャイン/FF)
トヨタヤリス・クロス・ハイブリッドZ(ブラックマイカ×ホワイトパールクリスタルシャイン/FF)    池之平昌信

ヤリスの後席は男性が長時間過ごすには余裕がない。寸法だけでなく、視覚的圧迫感も強い。荷室は奥行き幅共に日常用途向け。

ヤリス・クロスならば4名乗車プラス荷物で、悠々とは言わないまでもファーストカー用途に対応できる。後席を収納せずにゴルフバッグ2本を積載できるのは大きなメリットだ。

最低地上高は170mm。SUVとしては少なめだが、ハードクロカンを除けば問題はない数値である。

4WDシステムはヤリスと共通ハードを用いるもののヤリス・クロス用に悪路用制御モードを採用。コンパクトSUVではかなり悪路走行を配慮した設計だ。

基本はアウトドア趣味も楽しめるコンパクトSUVだが、キャビン実用性に優れたスモール2BOXでもある。

アウトドア趣味がなくても、ヤリスのキャビンでは物足りないと考えるユーザーにも見所が多く、相性のいい適応用途が広いモデルである。

どんな感じ?

サーキットでのプロト車試乗の印象に比べると乗り心地は硬めに感じられた。

プロト車試乗時も一般用途想定の速度で走らせたりしたが、公道はサーキットほど路面状況がよくない。とはいえ、その硬さは汎用性向上のための良識の範疇。

トヨタ・ヤリス・クロス・ハイブリッドZ(ブラックマイカ×シルバーメタリック/Eフォー)
トヨタ・ヤリス・クロス・ハイブリッドZ(ブラックマイカ×シルバーメタリック/Eフォー)    池之平昌信

ヤリスより約100kg重い車重だが、それでも1.1t級であり、4名乗車と荷物で後輪荷重が大きな状況でも十分な操安を確保するための備えである。

例えばヤリスの硬さがスポーティな演出なら、ヤリス・クロスは実用のポテンシャルアップなのだ。

硬めといってもヤリスほどではなく、ロール入り等々のサスの動き出しは滑らかである。急激な荷重変化でもストローク速度を抑制しているので収束性もいい。

うねりのある高速コーナーでも挙動も方向性も安定しているし、速度やコーナー半径による操縦性の変化も少なめ。

重質な味わいは車格相応のレベルだが、運転感覚も乗り心地も安心感がある。この辺りは最近のトヨタ車のフットワークに共通した美点である。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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