【変わらない最高】ホンダ・シビック・タイプRへ試乗 小変更 2バージョン追加 後編

公開 : 2020.10.02 10:20  更新 : 2020.12.14 16:00

ホンダ・シビック・タイプRがマイナーチェンジ。ブレーキやサスペンションを改良しつつ、2つの派生バージョンも登場。エンジンに変更はないものの、最高のホットハッチであることも変わりないと、英国編集部は評価します。

痛快に英国の郊外の道を打ちのめす

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
コンフォート・モードでも、シビック・タイプRのターンイン時のグリップ力は高く、LSDの効きは積極的。低速コーナーからの立ち上がりでは、素晴らしいトラクションを引き出せる。

アクセルペダルの操作を焦ると、ターボが生む40.7kg-mという太いトルクが沸き立ち、わずかながらトルクステアが顔を出す。2速や3速では、トラクションコントロールも介入してくる。

ホンダ・シビック・タイプR GT(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR GT(英国仕様)

準備運動が終わったら、スポーツ・モードを選択。タイプRは、さらに路面へ張り付く。タイヤからの鋭い衝撃は覚悟しなければならないが、それでも落ち着きのある姿勢制御は素晴らしい。

タイプRほど、痛快に英国の郊外の道を打ちのめすクルマは稀有な存在。単に目的地までの速さを競うクルマでは、太刀打ちできないだろう。

グリップ力は高い。一方でアクセルペダルをわずかに戻すか、ブレーキペダルできっかけを与えれば、姿勢が変化。コーナリングラインを修正できる、自由度もある。

思わず唸ってしまう。前輪駆動のタイプRに、魔法の力でも込められているかのようですらある。ちなみにドライブ・モードのR+は、ハードコア過ぎるから、一般道では選ばない方が良い。

エンジンノイズは、アクティブ・サウンド・コントロール(ASC)で増強されているが、よりリアルなサウンドの方を求めてしまう。それでも、4気筒エンジンのパンチ力は、依然として強力なままだ。

市民的なファミリーカーでもある

低回転域から中回転域にかけては、豊かなトルクが得られる。5000rpmを超えるとVTECが機能し、弾けるように勢いよくレッドラインまで吹け上がる。

中間加速の鋭さにも驚かされる。これだけの瞬発力を備えていながら、渋滞時も難なくこなせるホットハッチは、そう多くはない。

ホンダ・シビック・タイプR GT(英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR GT(英国仕様)

鍛え抜かれたアスリートであっても、タイプRはシビック。とても市民的に、日常的なファミリーカーとしても使える。

赤いインテリアに落ち着かない人もいるかもしれないが、大人5名分の車内空間と、大きな荷室が備わる。必要そうな装備は、大体揃っている。

鮮やかなシートに抵抗があるなら、黒色になるスポーツラインが良い。あるいは47kg軽いリミテッド・エディションなら、エアコンやインフォテインメント・システムを省ける。もし不要なら。

サーキットを数周走っただけだったが、リミテッド・エディションは良くグリップが効き、さらに速かった。標準のタイプRと比較してブレーキを少し遅らせられ、コーナリングスピードも高く、早めにアクセルを踏んでいける。

この動的性能の向上は、軽量化ではなく、高性能なパイロットスポーツ・カップ2タイヤのおかげかもしれない。標準のタイプRに、カップ2タイヤを履かせても、肉薄できるスピードで周回できるように思える。

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