【ジープのPHEV乗ってみた】レネゲード4xe試乗 電動システムの「実際」 リミテッド/トレイルホークどちら?

公開 : 2020.12.04 20:35  更新 : 2021.10.11 09:16

ジープ・レネゲード4xe(フォー・バイ・イー)の試乗記です。プラグインハイブリッドとしての詳細、グレードによる違い、乗り味をレポートします。

4xe=日本車的にいうと「電気4WD」

text:Hiromune Sano(佐野弘宗)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

その「4xe(フォー・バイ・イー)」というネーミングからも想像されるように、レネゲードのプラグインハイブリッドはジープらしく四輪駆動だ。

日本で4WDのプラグインSUVというと三菱アウトランダーPHEVトヨタRAV4 PHVが思い出されるが、レネゲード4xeの動力システムは良くも悪くも、三菱やトヨタのそれほど、内燃機関と電動機関が複雑かつ有機的に絡みあったものではない。

ジープ・レネゲード4xeの「リミテッド」(前)と「トレイルホーク」(後ろ)
ジープ・レネゲード4xeの「リミテッド」(前)と「トレイルホーク」(後ろ)    神村 聖

誤解を恐れずにいうと、レネゲード4xeのシステムは既存のガソリン車の「すきま」に巧妙にモーターを追加した(?)ようなものだ。

まず、フロント側では、既存のガソリン車にも使われる1.33Lターボ・エンジンがトルコン6AT(従来のFFガソリン車の6DCTとは異なる)を介して、そのまま前輪を駆動する。

ただ、そこには20psのモーターが追加されており、この部分だけ見るとFFのマイルドハイブリッドである。

定格出力20psのモーターはエンジンのアシストや蓄電のサポート、そして場合によっては直接リア・モーターに電力供給はするが、単独で前輪を駆動することできない。

対してリア側には定格出力60psのモーターが搭載される。前後のパワートレインは機械的にはリンクしておらず、日本車的にいうと「電気4WD」である。

リア・モーターは後輪の駆動と回生をおこなう。

充電は現時点で200V普通充電のみ

……と、ここまでで、ご理解いただいた向きも多いと思うが、レネゲード4xeのEV走行時はリア・モーターのみの後輪駆動となる。

駆動用のリチウムイオン電池は11.4kWhの容量をもち、満充電では最大48km(WLTCモード)のEV走行が可能だそうで、EV状態での最高速度は130km/h。

充電は現時点で200V普通充電のみで、日本の急速充電には対応していない。
充電は現時点で200V普通充電のみで、日本の急速充電には対応していない。    神村 聖

パワートレインの制御モードは3種類からボタンで選べるようになっており、走行状態に応じてエンジンとモーターを適切に配分する「HYBRID」モードのほか、基本的にEV走行する「ELECTRIC」、そしてリチウムイオン電池の残量キープする「E-SAVE」がある。

残念なのは、他社プラグインハイブリッドのように、エンジンで積極的に充電(して、いざというときにEV走行)するチャージモードが用意されないことだ。

リチウムイオン電池を使い切ってしまうと、ひと休みして充電するまでは、4xeは本来の走りに戻せないのだ。

このクルマの充電は現時点で200V普通充電のみで、日本の急速充電には対応していない。プラグインハイブリッドなのでガソリンを入れれば普通には走るが、やはり自宅や勤務先など日常の生活拠点に充電設備をもたないと、このクルマ本来の魅力は味わいにくいと考えたほうがいい。

記事に関わった人々

  • 佐野弘宗

    Hiromune Sano

    1968年生まれ。大学卒業後、ネコ・パブリッシング入社。カー・マガジン等で編集作業に携わるうちに3年遅れで入社してきた後藤比東至と運命的な出逢いを果たす。97年、2人でモンキープロダクションを設立するべく独立。現在はモータージャーナリストとして「週刊プレイボーイ」「AUTOCAR JAPAN」「○○のすべてシリーズ」他、多数の雑誌、ウェブ等で活躍中。

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