【何が同じで、何が違う?】トヨタeパレットは、未来のハイエース? 新参者は世界の「人気車」になり得るか

公開 : 2020.12.22 15:00

自動運転EVのトヨタeパレットは様々なサービス形態での活躍が期待されます。未来のeパレットは、現代の「働くクルマ」ハイエースにかわる存在となるのでしょうか?

ラスベガスの衝撃

text:Kenji Momota(桃田健史)

トヨタが次世代乗り物、eパレットを量産する。自動運転、コネクテッドカー、EVといった先進的なイメージが強いが、その実態は、次世代ハイエースともいえる。

eパレットが世界初お披露目されたのは、2019年1月の米ラスベガスのCESだ。CESは、IT関連商品や家電などの最新モデル商業見本市だが、2010年代に入ると自動車の存在感が一気に増した。

トヨタeパレット(東京2020仕様)
トヨタeパレット(東京2020仕様)    トヨタ

筆者は90年代からCESを現地で見てきたが、自動車関連はカーオーディオが主流で、その後にカーナビ関連の出展が増えていった。それが、2000年代半ばのスマホ登場で、場内の雰囲気は大きく変わった。スマホを経由した新しい交通サービスが次々に誕生したのだ。

EVなどクルマのパワートレインの進化は、国や州の政策に影響されるため、進化の速度やタイミングが予測しやすいが、スマホや通信によるサービスという領域は、一気にビジネスモデルが確立されてしまう可能性がある。そうしたCESの変革期に、トヨタは当初、燃料電池車に関する出展を行った。

その次に、IT技術者集団として、TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)発足を発表し、そのTRIが自動運転の開発を進めた。さらに、トヨタとしては極めて珍しい「サービス事業」の分野に、eパレットを投入したのだ。その際、日本人の多くが「未来のハイエース」を連想した。

サービスとは何か?

eパレットでの「サービス」とは、多種多様な見方ができる。

ハードウエアとして見れば、内部を改造することで、人や荷物を運ぶトラックや小型バスになったり、移動オフィスになったり、飲食を提供するキッチンカーになったりと、軽トラックやハイエースに近い使い方をイメージしている。

トヨタ・ハイエース
トヨタ・ハイエース    トヨタ

ここで、トヨタの狙いは大きく2つあると考えられる。

ひとつは、ハイエースのようにクルマそのものを売ることだ。ハイエースの場合、バンとして標準ルーフ、ミドルルーフ、ワイドボディなどがあり、またコミューターとしてスーパーロング・ハイルーフとハードウエアとして様々なバリエーションを持つ。

一方、eパレッドの場合、将来的には仕様違いが生まれる可能では否定できないが、基本的にはひとつのモデルで、様々なサービスモデル化をすることが想定されている。また、より多くの荷室や乗員スペースが必要な場合、例えば「電子連結」によって複数が「カルガモ走行」することが想定される。

こうしたハードウエアをいくらで売るのか?自動運転EVバスについては、フランスやアメリカのベンチャー企業が既に販売しているが、資本力と量産効果によって、トヨタが一気に世界シェアトップに躍り出る可能性は高い。まるで、ハイエースが各国で人気商用車であるように。

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