【M5以上に望ましい】BMW 5シリーズ M550iへ試乗 活発で快適 V8 4.4Lで530ps

公開 : 2021.01.11 10:25

スーパーサルーンの雄、M5がサーキット寄りになったことで、ツインターボV8を積むM550iの存在が見直されたとする英国編集部。0-100km/h加速3.8秒の動的性能と、長距離も快適にこなす乗り心地を両立させています。

ハードコア化の進むM5を補うM550i

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
7世代、48年の歴史を持つBMW 5シリーズ。モデル中期のマイナーチェンジを受けたが、もともと優れた評価を集めるのに充分な仕上がりではあった。

ライト周りやバンパーのデザイン変更に存在感を強めたフロントグリル、新技術の追加採用で、5シリーズの勢いを保つのに不足はないだろう。同時に、Mではない5シリーズのフラグシップとして、M550iが英国へも導入されるようになった。

BMW 5シリーズ M550i xドライブ(英国仕様)
BMW 5シリーズ M550i xドライブ(英国仕様)

1つの頂点として記憶に残るであろう4.4LのV8ツインターボエンジンに、知的な四輪駆動システム、xドライブを搭載。路面や天候にとらわれず、530psのパワーを路面へ伝えることを可能としている。

M550iは、欧州本土や日本では7代目の登場当初から選べていた。しかし英国の場合、中の上程度の性能を選ぶなら、一番上を選ぶ傾向が高い。5シリーズで高性能を求めるユーザーは、624psのM5コンペティションを選ぶだろう、というBMWの考えがあった。

ところが最新のM5は、全長5mの大きなボディにも関わらず、ハードコア化に一層の拍車がかかっている。積極的に運転したいと考えるドライバーが必要とする以上の速度を備え、サスペンションは英国の傷んだ道には少々硬すぎた。

その結果、英国のBMWは右ハンドル仕様のM550i xドライブを要望。0-100km/h加速3.8秒と充分に速く、だいぶ柔らかい足回りの5シリーズが導入されることになった。

上品なマナーを備えた高速サルーン

英国でのM550iの価格は6万8590ポンド(960万円)からと、3万ポンド(420万円)もM5より安価。試乗車の場合は、テクノロジー・パッケージやアダプティブMサスペンション・プロなどのオプションを搭載し、8万9445ポンド(1252万円)だったが。

M550i xドライブは、エアサスとアクティブ・ロール制御が入るMサスペンション・プロフェッショナルなどの追加を必要としない、素の状態で完成度の高いモデルだ。優れた高速安定性とグリップ力で、長距離移動も快適にこなせる。

BMW 5シリーズ M550i xドライブ(英国仕様)
BMW 5シリーズ M550i xドライブ(英国仕様)

たとえスポーツサルーンに理解のない人を助手席に乗せても、オーナーがいい訳をする必要がないほど、乗り心地はしなやか。上品なマナーを備えた、高速サルーンとして受け止めてもらえるだろう。ロードノイズですら控えめだ。

パワートレインの力強さも自然。穏やかに運転している限り、最も洗練された直6ユニットにも匹敵する上質さがある。低回転域ではエンジンノイズもほぼ聞こえこないから、躍動感は濃くはない。

エンジンの本性が見えてくるのは、ドライバーがその気になった時だけ。それでも、品の高いしつけの良さは変わらない。

スポーツ・モードを選択すると、音響面でも豊かになる。乗り心地は硬くなり、ステアリングホイールの操舵感も重くなるが、そのぶん敏捷に身をこなす。長距離もまったく意に介さない、運転しやすいクルマだ。

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