【再評価】トヨタMR2(AW11)に試乗 前編 歴史を振り返る

公開 : 2021.01.26 11:25  更新 : 2021.10.09 22:32

「平凡ではないトヨタ」の先駆けとして

もともとレーシングの世界で誕生し、発展したミドシップのレイアウトは「機敏に走る」という点で理想的だが、そのドライビング特性はピーキーであると言われてきた。

フロント・エンジンのクルマに比べ前輪の接地荷重が軽いため、荷重移動をしっかりおこなわないとアンダーステアが容易に顔を覗かせる。

トヨタMR2
トヨタMR2    篠原晃一

一方「曲がりやすい」特性は、同時にスピンしやすいということも意味していた。実際に初代MR2は事細かに年次改良が施されており、ハンドリングをマイルドな方向にするチューニングもおこなわれていたのである。

国産の量産型ミドシップ・スポーツカー第1号という肩書を引っさげたMR2の人気は絶大だった。1980年代の後半から終盤にかけて盛り上がっていったバブルの流れにもうまく乗り、比較的短い5年ほどのモデルライフだったにもかかわらず、AW11の生産台数は4万台を超えたのだった。

現在のトヨタは平凡な大衆車ばかりではなく、クルマ好きに訴えかける魅力的なモデルを送り出すメーカーという認知が進んでいる。そんな今日のブランドの評価につながるきっかけは、MR2~MR-Sというミドシップ・スポーツカーの一群によって切り開かれたという見方もできるのである。

後編では試乗記をお届けする。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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