【V8ミドシップへ一新】シボレー・コルベット vs ポルシェ911 C8 進化度合いに驚く 前編

公開 : 2021.01.30 11:45  更新 : 2021.05.18 16:20

67年の歴史で初めて、ミドシップへ生まれ変わったコルベット。欧州で最高のスポーツカーの1台、ポルシェ911と比較し、その実力を確かめます。

北米では718ケイマンより安いコルベット

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者の目の前に停まっている、真っ赤な8代目(C8)シボレー・コルベット・スティングレイ。ミドシップ・レイアウトへと一新したことは、ご存知の通り。

67年間に及ぶ歴史を持ち、ブルーカラーの労働者から銀幕のスターまで、幅広い世代に愛されるアメリカのヒーローといっていい。ジョー・バイデン新大統領も、1967年式のコルベットを所有しているそうだ。

シボレー・コルベット・スティングレイとポルシェ911カレラ
シボレー・コルベット・スティングレイとポルシェ911カレラ

2021年後半には、右ハンドル車もリリースされる予定。英国でも左ハンドル車であれば購入は可能ながら、まだ自身で輸入するか、輸入代理店を通じて手配してもらうしかない。

北米でのC8コルベットの価格は約6万ドル(624万円)からと、ポルシェ718ケイマンより安い。魅力的なプライスタグだが、税金に保険料、陸送料などが重なり、アメリカ人でも実際はそこまで安くは手に入らないらしい。

今回試乗したコルベットの場合、少なくないオプションが載っていた。その選択肢はかなり多い。

試乗車は3LTと呼ばれるトップグレードで、ベースグレードより1万1000ドル(114万円)も高い。さらに5000ドル(52万円)のZ51というパフォーマンス・パッケージなどが装備され、価格はかなり膨らんでいる。

この内容での北米価格は、8万5000ドル(884万円)。さらに先述の諸経費がかかる。

コルベットの中央に搭載されるのは、自然吸気の6.2LのV8プッシュロッド・ユニット。モノコックはアルミニウム製で、前後にアルミ製のサブフレームが付き、ボディはコンポジット素材が選ばれている。

C8コルベットならZ51パッケージも付けたい

サスペンションは、前後ともにダブルウイッシュボーン式。試乗車には1895ドル(20万円)のオプションとなる、磁性流体を用いたマグネティック・アダプティブダンパーを装備していた。

Z51パッケージを追加すると最高出力は502psへ引き上げられ、サイズアップしたブレーキディスクが組まれ、エアロパーツがボディに付加される。タイヤはオールシーズン・タイプではなく、ハイグリップなミシュラン・パイロットスポーツ4を履く。

シボレー・コルベット・スティングレイ(C8/北米仕様)
シボレー・コルベット・スティングレイ(C8/北米仕様)

さらに、スポーツエグゾーストと電子制御のLSDも装備される。C8コルベットを買うなら、Z51も欲しいところだ。

グレードやパッケージの内容に関係なく、トランスミッションは8速デュアルクラッチAT。コルベット史上初めて、MTが選べなくなった。

筆者はC8コルベットの発表会へ参加した。その時、リーフスプリングでなければピュアなコルベット・ファンの支持は得られないだろう、とシボレー側は話していた。今どき、果たして本当だろうか。

8代目でミドシップとなり、MTを失ったコルベット。我慢できなかったわれわれは、英国へ輸入した代理店から早速1台を借りてきた。最新のポルシェ911と比べるために。

ダークグリーンの911は、AUTOCARの長期テストで借りているクルマ。そちらの記事をお読みいただいている方も、なかにはいるだろう。

992型のカレラは、英国ならオプションレスで8万2793ポンド(1159万円)の値段が付いている。長期テスト車の場合、いくつかのオプションが載り9万891ポンド(1272万円)。お金の話題で申し訳ないが、英国では試乗したコルベットより安い。

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