【詳細データテスト】ロールス・ロイス・ゴースト なめらかな駆動系 快いハンドリング 極上の静粛性

公開 : 2021.01.23 20:25

ロールス・ロイスのエントリーモデル、ゴーストの2代目は、動力性能やハンドリングはスポーツカー顔負けで、静粛性は格上のファントムすら凌ぐほど。やや路面の細かい凹凸を拾いがちですが、文句なしにクラス最高です。

はじめに

ゴースト。幽霊、もしくは実体のないものを指すような言葉だ。今や存在しないのなら、そのネーミングはピッタリだろう。しかし、それが今後も継続するだろう現役モデルにふさわしい名前だろうか。少なくとも、ロールス・ロイスの商品プランナーはそんな懸念を抱いたようだ。

とはいえ、この実在するサルーンの登場で、2017年の新型ファントム発売からはじまったグッドウッドのラインナップ整備が完了したのはたしかだ。この間、2018年にはクロスオーバーSUVのカリナンを投入し、ブランド史上最高の販売台数を記録している。

テスト車:ロールス・ロイス・ゴースト
テスト車:ロールス・ロイス・ゴースト    LUC LACEY

新型ゴーストは、以前よりファントムとの差を縮め、25万ポンド(約3500万円)で代役を務められそうなモデルとなった。いわば、輪が完全に繋がったといったところだ。というのも、プラットフォームはロールス・ロイス専用のアルミ構造体であるアーキテクチャー・オブ・ラグジュアリーを採用したのだ。そう、2009年にデビューした、BMW7シリーズがベースの先代モデルとは根本的に異なるのである。

しかし、ファントムやカリナンと異なり、2代目ゴーストはロールス・ロイスの将来を指し示すものでもある。今回テストするのは、電気的アシストを一切持たない、掛け値なしの6.75L V12だが、近い将来には完全電動モデルも導入される予定だ。

とはいえ、ゴーストが示す未来は単にメカニズムの話だけでなく、フィロソフィの面も含まれる。かけらほどの皮肉さえ抜きで、ロールス・ロイスはこのクルマでとった新たなアプローチをポスト・オピュレンス、すなわち脱・贅沢もしくは豪華さの後に来るものと呼んでいる。

その意味するところは、これ見よがしではなく気品を高めた、ありふれたプレミアムへのアンチテーゼだ。むろん、ロールス・ロイスの伝統の範囲内で、という前提はあるが。受け入れやすい贅沢さといったところだろう。

そんな新時代のロールス・ロイスは、ベントレーやマイバッハといった強力なライバルと渡り合えるクルマなのだろうか。どんなお題目を唱えようとも、ユーザー目線で知りたいことは、このクルマがクラスの基準を打ち立てられるようなものであるのか、それに尽きるのだ。

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