【純EVハッチバック比較】日産リーフxフォルクスワーゲンID.3 最新版は最良か 後編

公開 : 2021.02.14 09:45  更新 : 2021.05.18 16:19

市民のクルマ、フォルクスワーゲンが発売した純EVのID.3は、日産リーフの人気を奪い取れるのでしょうか。英国編集部が純EVの2台を比較しました。

新しい世界が広がるID.3のインテリア

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
photoOlgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
両車のインテリアにも、ボディと似た違いがある。フォルクスワーゲンID.3には新しい世界が広がっている。日産リーフは従来的。ダッシュボードのデザインや素材などは、ほかの日産車から持ってきたような共通性を感じる。

しかし機能的で、少し上質な素材を採用してある。実際に触れてみれば、ソフト加工されてある場所も多い。エアコンの操作ボタンもシンプルで大きい。シートヒーターのスイッチも従来的。

日産リーフとフォルクスワーゲンID.3
日産リーフとフォルクスワーゲンID.3

リーフのステアリングホイールは、前後方向のテレスコピック調整ができない。これも世代の古さを感じさせる。だが、形状自体は悪くない。

ID.3の車内は別世界。とてもクリーンなインテリアデザインが与えられ、実際に押せるボタンは最小限だけ。ブレーキペダルに足を置き、ダッシュボード上部のセレクターをドライブに入れれば、クルマは発進する準備が整う。

必要なら、回生ブレーキが強まるBか、前に進めないならリバースに入れても良い。

エアコンの温度調整は、リーフより難しい。実際のボタンを用いないから。レーンキープ・アシストをオフにしたいときも、タッチモニターからいくつかのメニュー項目をたどる必要があり、手間取る。

ステアリングホイールは、ID.3も良い。テレスコピックも付いている。

内装の素材は、コストやリサイクル性、重量など、いくつかの選択理由があるのだろう。少しでも軽い方が良いことは間違いない。少なくとも通常のゴルフから乗り換えるのなら、少し豪華に感じるはず。

明確な違いのない加速力とレスポンス

ID.3は新しいだけに、デザインのアドバンテージは高い。だが、リーフが明らかに劣るともいえない。この印象は、走り始めてからも同じだった。どちらも洗練されマナーが良い。想像以上に。

もちろん、エンジン音は聞こえない。速度を上げても、風切り音が気になるほど聞こえてもこない。

フォルクスワーゲンID.3 1stエディション・プロ・パワー58kWh(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.3 1stエディション・プロ・パワー58kWh(英国仕様)

加速力やレスポンスに明確な違いはない。最高出力は217psと203psで、リーフの方が若干パワーはある。0-100km/h加速も6.9秒と7.3秒で、リーフの方が鋭い。車重はリーフが1634kgなのに対し、ID.3は1714kgと小さくない違いがある。

しかしID.3は後輪駆動という性質からか、遅くは感じない。アクセルレスポンスがリニアだから、電気モーターへ掛かる負荷も高くはないはず。

リーフでは、フロントタイヤの空転を避けるため、静止状態からの加速時は34.6kg-mの最大トルクが絞られているようす。一方のID.3は、最大トルクが31.6kg-mと少し弱い。

またリアへ効率的気に荷重がかかり、リアタイヤは空転しない。結果として、スタートダッシュの反応はID.3の方がイイ。

リーフでアドバンテージとなるのは、アクセルオフ時の回生ブレーキの制御。両者ともに、標準ではエンジンモデルのように、アクセルオフで徐々に減速する設定が与えられている。

だがID.3では、シフトレバーを回すと回生ブレーキの強さが徐々に増すだけ。リーフではダッシュボードのスイッチを操作すると、ペダルの反応が大幅に向上する。ブレーキペダルを使わず、発進から停止までを安定してできる。

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