【クロスオーバーPHEVとの暮らし】ボルボXC40 リチャージT5(1) ボルボの近未来 長期テスト

公開 : 2021.03.21 09:45  更新 : 2021.07.27 14:51

英国編集部でも人気のボルボXC40。そのPHEVはさらに良いのか、未来の自動車産業を担う技術はドライバーにも適しているのか、長期テストで確かめます。

初回 コンパクトクロスオーバーのPHEV

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
見慣れた普通のXC40と同じに見えるが、近未来につながる技術を載せている。ボルボという自動車メーカーが今どこにいて、どこを目指しているのかを示している。電気自動車へ移行する途中の姿を映し出したものともいえる。

早速モデル名から確認していこう。ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ。ちょっと長い。

ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)
ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)

ボルボの成長を支えるSUVのラインナップを完成させた、コンパクトモデルがXC40。ジーリー・ホールディング・グループの傘下となって、初めて開発されたモデルでもある。

XC40自体は登場からすでに数年が経過しているが、今回長期テストとして迎えた理由は、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)だから。180psの1.5L 3気筒ターボガソリン・エンジンに、81psの電気モーターが組み合わされている。

ボルボのすべてのモデルで、PHEVが選べるようになっている。欧州では自動車のCO2排出量削減が求められており、ボルボにはPHEVの販売で数値を低く抑える目的もある。

つづいて、リチャージ。これはボルボが掲げる、PHEVか純EVに与えられるサブブランド名。PHEVの場合、従来まではツインエンジンと呼ばれていたものが改められた。

このXC40は、リチャージというサブブランドを名乗る最初のモデルになる。2021年後半には、純EVのXC40 リチャージP8が英国で発売される予定だ。

ボルボは、2025年までに販売するクルマの半数を純EVに、残り半数をPHEVにする計画を進めている。今後、多くのリチャージが登場するだろう。

自宅の充電器なしでPHEVと暮らす

その目標達成には、今後5年間で毎年のようにボルボは新しい純EVを発売しなければならない。同時に、充電施設の充実やバッテリーの生産コスト低下、公共交通での純EVの需要増加など、ボルボ以外の側面も重要になってくる。

XC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5は、2021年のボルボと自動車業界にピッタリのクルマだといえる。純EVの抱える充電や航続距離といった課題に悩まず、電気モーターの恩恵を受けることができる。

ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)
ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)

アウディBMWメルセデス・ベンツなど、ライバルブランドからもPHEVのSUVはリリースされ始めている。ボルボはその引き金を引いたと、自信を見せているようだ。その仕上がりを、長期テストで確かめてみたい。

過去にPHEVのメルセデス・ベンツE 300 deを長期テスト車にした時は、7kWhの家庭用充電器も導入した。筆者はロンドン郊外のミドルセックスの自宅と、英国西部のサマセットの実家が拠点。だが今回は自宅に充電器を導入する計画はない。

ミドルセックスの自宅には、場所の固定した駐車場がない。母は、実家に充電器を設置することを拒んでいる。

XC40 リチャージのメリットを最大に生かせる環境ではない。でも賃貸住宅に住む人など、PHEVや純EVへの一歩を踏み出すドライバーの多くが直面する課題だと思う。

公共の充電器のみを利用して、PHEVの長所を活かせるだろうか。長期テストで確かめたい課題の1つといえる。

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