【どうしたフィット?】売れないワケ 好調ヤリスとの「差」どこに

公開 : 2021.03.13 05:45  更新 : 2021.10.13 12:04

ホンダ・フィットが苦戦しています。フィットには独自の良さがあるのですが、身内の強敵が販売に影響しているようです。

ライバル「ヤリス」は販売好調

text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

ヤリスとは、トヨタのBセグメントのコンパクトカーだ。

これまで日本で「ヴィッツ」と呼ばれていたモデルが、2020年2月のフルモデルチェンジのタイミングで海外名である「ヤリス」へと改名。

ホンダ・フィット
ホンダフィット

2020年には「ヤリス・シリーズ」として15万1766台を販売し、登録車(小型車+普通車)の販売ランキングトップに躍り出た。

ただし、この台数はハッチバックの「ヤリス」に加えて、クロスオーバーSUVの「ヤリス・クロス」とプラットフォームからして別設計のスポーツモデル「GRヤリス」まで含んだもの。

純粋なハッチバックの「ヤリス」だけのカウントだと、11万5300台となる。もしヤリス・シリーズをボディごとにそれぞれ別カウントとした場合、5ドアハッチバックのヤリスは登録車ランキングで「ライズ」と「カローラ」に続き3位となる実績だ。

実はいま、Bセグコンパクトカーは3つ巴の戦いとなっている。

リードしているのはヤリス。対抗馬はほぼ同時にフルモデルチェンジしたホンダ「フィット」(2020年には9万8210台を販売)。

そして2020年11月には、2018年に登録車の年間販売ランキングで1位にも輝いた日産ノートもモデルチェンジ。2021年2月には7246台を販売し、今後はさらなる追い上げが期待される。

ヤリスは好調、でもフィットは……

ところで、そんな絶好調のヤリスに比べると元気がないのがライバルのフィットだ。

2020年2月の販売実績は、ヤリス・ハッチバックが9950台(ヤリス・シリーズ全体では2万559台)を登録。対してフィットは5782台しか積みあがっていない。

トヨタ・ヤリス
トヨタ・ヤリス

実は、昨年末からその兆候はあり、たとえば2020年12月の状況を見るとヤリス・ハッチバックの7470台に対してフィットは6726台。2020年1月の販売実績は、ヤリス・ハッチバックが8820台、フィットは5889台だった。明らかに差がついているのだ。

フィットは一体どこでヤリスとの差がついたというのだろうか。それを探るために、まずはヤリスとフィットの長所と短所に注目してみよう。

ヤリスの特筆すべき長所は、燃費である。

ガソリン車は19.6-21.6km/L、ハイブリッド車になると35.4-36.0km/Lという優れた燃費(FFモデルのWLTCモード値)を誇る。

しかも、筆者の経験としてハイブリッドモデルでの高速巡行では平均燃費40km/L超えを実現するなど、カタログ値だけではなく実燃費もいいことに驚かされる。

ライバルにとっては脅威としかいいようのない実力だし、数字という形でわかりやすいからユーザーへ伝わりやすい。

短所は、後席や荷室が広くないことだろう。とくに後席の閉塞感は、ファミリーカーとして最適とはいい難い。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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