【最新EV対決】前編 欧米各社の電動化対策 来るべきエンジン車廃止 既存メーカーの現在地を探る

公開 : 2021.04.03 11:05  更新 : 2021.04.05 00:04

性能も価格も拮抗する2台

それらのクルマは凍えるような3月のある朝、ミルトン・ケインズ・コーチウェイの50kW急速充電器に繋がれていた。ロンドンからこの地まで、M1高速道路を経てたどり着いた直後のことである。

マッハEはエントリーグレードの後輪駆動モデルであるRWDスタンダードレンジで、価格は4万350ポンド(約565万円)というプライスがつけられている。

マスタングの名を持つ電動クロスオーバーは、本家には及ばないまでも、野生馬のエンブレムに恥じないヤンチャさもみせる。
マスタングの名を持つ電動クロスオーバーは、本家には及ばないまでも、野生馬のエンブレムに恥じないヤンチャさもみせる。    Luc Lacey

ちなみに英国政府は、EV購入補助金制度を改定し、補助額を3000ポンド(約42万円)から2500ポンド(約35万円)に引き下げたばかりか、対象を車両価格3万5000ポンド(約490万円)未満と制限した。つまり、マッハEは対象外となる。

ID.4のテスト車は、プロ・パフォーマンス・ファーストエディション。現時点の英国市場で購入できる唯一のグレードで、発売記念モデルとして標準装備内容を充実させ、4万800ポンド(約571万円)という価格設定だ。

この2台、価格差はきわめて小さい。それはそのまま、これからテストする項目の拮抗ぶりも表している。

マスタングの名が期待させるもの

どちらも、EVとしては典型的なレイアウトだ。リチウムイオンバッテリーは、ホイールベース内のフロア下に配置。モーターはリアに搭載され、後輪を駆動する。とはいえ、スペックをみると、わずかながらも違いが発見できる。

フォードのモーターは270ps/43.8kg−mを発生するが、フォルクスワーゲンのほうは204ps/31.7kg−mと控えめ。1.9tのマッハEは0−100km/hで6.9秒をマークし、2.1tのID.4は8.5秒に留まる。マスタングの名を冠するだけあって、パフォーマンス志向が強そうなのは期待通りだろう。

モーター性能はマッハE、バッテリー容量ではID.4が上回る。WLTCモードの航続距離はフォルクスワーゲンに分があるものの、車両重量がかさむので、実電費はその限りではない。
モーター性能はマッハE、バッテリー容量ではID.4が上回る。WLTCモードの航続距離はフォルクスワーゲンに分があるものの、車両重量がかさむので、実電費はその限りではない。    Luc Lacey

ところが、純粋に実用面の話をすると、ID.4のアドバンテージが際立ってくる。バッテリー容量は77kWhで、マッハEの68kWhを上回る。そのため、WLTPモードの航続距離は、フォードの439kmに対し、フォルクスワーゲンは499kmに達する。

ポールスターの普及モデル

M1経由でB660の北側へ向かい、ミルトン・ケインズへ折り返す160kmほどの道のりを語りはじめる前に、もう一台のテスト車を紹介しなければならない。

車両価格は4万9900ポンド(約699万円)、408ps/67.3kg−mのモーターを積み、ゼロスタートから5秒以下で100km/hに達するそれは、ポールスター2だ。

ポールスター2のハンドリングとサスペンションはダイレクト。3台の中で、ハイスピードで一番うれしいのはこのクルマだ。
ポールスター2のハンドリングとサスペンションはダイレクト。3台の中で、ハイスピードで一番うれしいのはこのクルマだ。    Luc Lacey

このグループに入ると、性能的にちょっとばかり場違いにも思える。だが、この地上高の高いセダンは、妥当な比較対象だ。それは、扱いやすいファミリーカーとして、完成度の高いEVだというだけが理由ではない。

たしかにほかの2台よりは高額だが、どちらも遠からず、これくらいの価格の仕様が追加されるはずなのだ。そのことを忘れてはいけない。

マッハEは、エクステンデッドレンジと銘打った大容量バッテリーと2モーター版が存在し、それらを両方とも装備した仕様もオーダーできる。ID.4も、2モーターが用意される見込みだ。

また、ハイエンド仕様となれば、価格はポールスターに近いか、それ以上となる。今夏上陸予定のマッハEファーストエディションは、5万8080ポンド(約813万円)だとされている。

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