【公道全力の楽しさ】生産終了 ホンダS660の良さ 今あらためて

公開 : 2021.04.25 05:45  更新 : 2021.10.13 12:13

歴史に幕を下ろすホンダS660は制限速度内で全力で楽しめます。その魅力を今あらためてお伝えします。

6年間を駆け抜けたS660

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

2015年3月30日に発表された軽スポーツ、S660はきっかり6年後の2021年3月30日にすべての生産枠が埋まったことがアナウンスされ、一旦歴史に幕を下ろすこととなった。

3月12日に2022年3月を持って生産が終了することが発表され、最後の特別仕様車である「モデューロXバージョンZ」がリリースされてからおよそ半月ほどで、来年3月までの生産枠がすべて埋まったということになるから、そのスピードには驚かされてしまった。

ホンダS660α
ホンダS660α    神村 聖

そもそも「限定」とか「残りわずか」といった状況に弱い日本人ではあるが(そうでない人も多くいるだろうが)、決して割安とはいえないスポーツカーが瞬く間に完売してしまうというのは、それだけ購入しようかどうか迷っていたユーザーが多かったことを裏付けているということだろう。

ちなみにバージョンZ発売から完売までの間におよそ4000台の受注があり、その中の2台に1台のペースでバージョンZだったというから、2度驚いてしまったのである。

ということで、瞬く間に終売となってしまったS660ではあるが、登場から6年が経過した今、あらためてじっくり乗ってみてどんなクルマだったのかを振り返ってみることにした。

今回連れ出したのは、2020年式のαグレード。S660にはCVTモデルも用意されるが、今回は軽自動車史上初の6速が採用されたマニュアルトランスミッションモデルをチョイスした。

色あせることのない美しさ

あらためて対面したS660の第一印象は、やはり「小さい」という一言に尽きる。

カタログなどで見る写真はS660単体で写っていることが多く、その端正でスポーツカー然とした佇まいからはそこまで小さいイメージを受けることはないのだが、それだけに街中で見るS660を小さく感じてしまうということだろう。

フロントにエンジンを搭載しないため、ペダルのレイアウトも自然。
フロントにエンジンを搭載しないため、ペダルのレイアウトも自然。    神村 聖

とはいえ、全長や全幅は同社の1番人気車種であるNボックスとまったく同一。ただし全高は1180mmとNボックスのおよそ3分の2という計算になる。

ボディサイズから考えるとかなりの長さとなるドアを開けると、オープンスポーツカーらしい高いサイドシルが目に入る。

うっかりするとドアトリムやサイドシルを靴で傷つけてしまいそうになるが、このサイドシルを跨ぐという所作もスポーツカーに乗り込む儀式と考えれば自ずと気分も高まってくるのだ。

そして軽自動車とは思えないサイズのシートに腰を下ろせば、目の前には本格スポーツカーのコックピットが広がっている。

低い着座位置はもちろんのこと、フロントにエンジンを搭載しないため、ペダルのレイアウトも自然であり、そこに軽自動車にありがちな妥協は微塵も感じられない。

2020年1月にマイナーチェンジを実施しているが、内外装のデザインはほとんど変更を受けていないことからもわかるように、S660は6年が経過した今見ても古さを感じさせない秀逸なものだったのである。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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