【労働者のFFアルファ】アルファ・ロメオ・アルファスッド 希少になった大衆車 後編

公開 : 2021.04.25 17:45

誕生から50年が経過する、アルファ・ロメオ・アルファスッド。ジウジアーロのデザインにフルシュカの設計が施された、傑作モデルをご紹介しましょう。

緑白赤のイタリアン・トリコロール

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
今回ご紹介する、アルファ・ロメオ・アルファスッドの3台は、赤が初期のtiクーペで、緑がスプリント・ベローチェ・クーペ。オーナーはアレックス・ルゲリだ。

白はシリーズ2のtiで、オーナーはマッテオ・ブラゴリ。緑白赤のイタリアン・トリコロールに揃った。ルゲリはロンドン北部で旅行業を営んで荒れいる。ブラゴリも熱心なアルファ・ロメオ・ファンだという。

アルファ・ロメオ・アルファスッド 赤のtiクーペ、緑のスプリント・ベローチェ・クーペ、白のtiクーペ・シリーズ2 
アルファ・ロメオ・アルファスッド 赤のtiクーペ、緑のスプリント・ベローチェ・クーペ、白のtiクーペ・シリーズ2 

「1977年式の赤いtiクーペは、数年前から存在を知っていて、オーナーに売って欲しいとお願いしていたんです」。ルゲリが説明する。

「彼が新しいアルファ・ロメオ用に資金が必要となり、2012年にわたしがオーナーになりました。最初はうれしくて窓際に停めて、10分おきに部屋から眺めていましたよ」

緑色のスプリント・ベローチェは1980年式で、ケント州のディーラーから2014に購入したという。低いルーフラインが特徴のクーペは、当初から5速MTを載せ1976年に登場。デザインはベルリーナ(サルーン)と同じジウジアーロが手掛けている。

アルファスッドの操舵性は常にニュートラルで、ボディロールは限定的。優れたコーナリング性能で、慎ましい直進加速という課題を忘れさせてくれるそうだ。

ハッチバックは備わるが、まだこの年式ではリアシートの折りたたみができない。オーナーは赤のtiほど快適ではないといい、あまり乗っていないらしい。

茶色いガンといえるボディのサビ

初期のベルリーナのアルファスッドは、カーペットや熱線入りのリアガラス、ブレーキのサーボ、タコメーターが標準装備ではなかった。遅れて5速MTで2ドアボディのtiとスプリントが登場し、ドライバーの気持ちを盛り上げた。

追加メーターをダッシュボードに並べ、スポーティなホイールを履かせ、多くの人がアルファ・ロメオを楽しんだ。控えめなチンスポイラーやテールスポイラーも、心をくすぐっただろう。

アルファ・ロメオ・アルファスッド tiクーペ(1977年)
アルファ・ロメオ・アルファスッド tiクーペ(1977年)

「アルファテックスの(スウェード風)インテリアは、かけがえがありません」。新車時のようにきれいな車内へ見惚れるように、ルゲリが口にする。

「一般的に105系のアルファ・ロメオほど部品の入手は簡単ではありませんが、最近は良くなってきました。多くのアルファスッドが、レストアを受け始めているからでしょう」

アルファスッドの茶色いガンといえるのが、ボディのサビ。新車時ですら、納品前に塗装の補修が必要で、初回の車検時にサイドシルの交換が迫られたクルマも多かった。オーナーの施した防錆塗装で守られてきたものもあるが。

塗装やスチール材の品質ではなく、ポミリアーノ・ダルコの従業員が原因だとルゲリは考えている。ストライキや収穫期に工場が止まると、ボディシェルは屋外に放置され、朝露や雨にさらされるためだ。

1970年代が終る頃には状況も改善。1980年代以降に作られたアルファスッド、大きなバンパーを付けたシリーズ3の作りは、それまでより良好なことは間違いない。

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