【長寿の秘訣は?】フルモデルチェンジせずとも堅調に売れる長寿モデルたち

公開 : 2021.04.20 05:45  更新 : 2021.10.22 10:12

プラドはライバル少ない本格派

トヨタランドクルーザープラド

トヨタ・ランドクルーザー・プラドは2009年に発売されたが、10年以上を経過しながら、2020年には1か月平均で2000台以上を登録した(ランドクルーザーを除く)。

人気を高めた1番の理由は、数少ない後輪駆動をベースにした悪路向けのSUVであることだ。

トヨタ・ランドクルーザー・プラド
トヨタ・ランドクルーザー・プラド

パジェロは2019年に生産を終えたから、現時点で売られている国産の悪路向けSUVは車種数が限られる。

ランドクルーザー、ランドクルーザー・プラド、ランドクルーザーと基本部分を共通化したレクサスLXジムニー、ジムニー・シエラだけだ。ほかのSUVはすべて前輪駆動がベースで、悪路で駆動力を高める副変速機も装着していない。

そして、ランドクルーザー・プラドは、悪路向けSUVの代表として人気を集めた。

外観には強い存在感が伴い、悪路走破力も抜群に高い。直列4気筒2.8Lクリーンディーゼルターボも、実用回転域の駆動力が高く、悪路走破力を向上させた。

そのために人気車になり、海外への中古車輸出も活発だから、中古車価格も高騰している。残価設定ローンの残価率も3年後で新車時の63%と高い。

ランドクルーザーも人気車だが、全長は約5m、全幅も約2mと大柄で、売れ筋価格帯は500~700万円に達する。したがって1か月平均の登録台数は160台前後と少ない。

その点でランドクルーザー・プラドは、全幅が1900mm以下におさまり、価格も450~500万円が中心だから、ランドクルーザーに比べると登録台数が増えた。

価格面の利を生かし高人気を保つモデルも

トヨタ・アクア

トヨタ・アクアはコンパクトなハイブリッド専用車で2011年に登場した。

今では2020年に発売されたコンパクトカーのヤリスにもハイブリッドが用意され、2020年におけるアクアの登録台数は前年の57%まで下がった。それでも1か月平均で5000台近くを登録する。売れなくなったといっても、RAV4と同等の台数だ。

トヨタ・アクア
トヨタ・アクア    トヨタ

人気の理由を販売店に尋ねると以下のように返答した。

「アクアは5ナンバーサイズでは唯一のハイブリッド専用車だ。ボディスタイルにも特徴があり、プリウスにも似ているから、外観を見ただけでハイブリッド車だと分かる」

「そのために環境対応に力を入れる法人のお客さまには、今でも人気が高い。5ドア・ハッチバックでも背が低く、運転感覚がスポーティなことも特徴だ。試乗すると気に入るお客さまが多い。またヤリスに比べると、値引きも多く好条件で購入できる」

スズキアルトダイハツ・ムーヴ

軽自動車には極端に設計の古い車種は少ないが、それでもスズキ・アルトとダイハツ・ムーヴは2014年に登場した。

2020年における1か月の届け出台数は、アルト(アルト・ラパンを除く)、ムーヴ(ムーヴ・キャンバスを除く)ともに3000~3500台で堅調に推移している。

今の軽自動車では、Nボックススペーシア、タントといった全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンが主力だが、これらは売れ筋価格帯も150~190万円と高い。

それに比べてアルトの売れ筋は90~110万円、ムーヴも120~130万円におさまり、スーパーハイトワゴンに比べると価格の安さにメリットがある。そこで堅調に売れている。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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