メルセデス・ベンツGLA45 AMG

公開 : 2014.02.12 23:30　　更新 : 2017.05.23 16:38

■どんなクルマ?

ますます多様化するジュニア・プレミアム市場の中でも、メルセデス・ベンツ GLA45 AMGはニッチ・マーケット向けのモデルかもしれない。しかし、A45 AMGの姉妹モデルであるCLA45 AMGと同様、そのマーケットはニッチであるかもしれないが、そのクルマ造りには一切の妥協はない。しかも、このGLA45 AMGが狙うニッチな市場にはライバルが存在する。アウディRS Q3がそれである。

そのエンジンは、A45 AMGやCLA45 AMGで使用されるのと同じ2.0ℓの4気筒ターボだ。現在、生産されている中でも最も強力な4気筒であり、355bhp/6000rpmのパワーと、45.9kg-m/2250rpmのトルクを持つ。これに7速のデュアル・クラッチが組み合わせられ、4WDシステムが与えられる。A45 AMGやCLA45 AMGのシャシーに大幅に手を加えられたシャシーを持ち、通常のGLAよりも25mm低い車高を持つ。また、ホイールは19インチが与えられている。

■どんな感じ?

GLA45 AMGは、姉妹モデルのA45 AMGやCLA45 AMGよりも優れている点がある。それは快適な乗り心地だ。毎日この手のクルマを使用すると考えると、それは大きなアドバンテージだ。

また、インテリアも、A45 AMGやCLA45 AMGを思い起こさせるインストルメント、ステアリング‥ホイール、シート、インフォテーメント・システム、スイッチギアなどを備えるが、ユニークなデザインが与えられている。ドライビング・ポジションは、他の4気筒モデルよりも若干高いが、それでも通常のGLAよりも25mm低い車高によって、通常のSUVよりはグッと乗用車に近いポジションがとれる。

3つのドライビング・モードがどのポジションにあっても低回転および中回転域でのフレキシビリティは絶大だ。特に1500rpm以上であれば、強力な加速と優れた扱いやすさがある。これは都市部でのドライビングには有効な武器となる。

更に、4500rpmを過ぎると、このエンジンの持つ本当のパワーが発揮される。逞しいエグゾースト・サウンドと唸りを上げるエンジンも素晴らしい。

7速のデュアル・クラッチは、スポーツ・モードではより高い回転をキープし、意図するままにクルマを操ることができる。一方、エコ・モードでもやや高回転を使うきらいがあったのも事実だ。

電気機械式のマルチ・プレート・クラッチを持つ4WDシステムは、電子ドライバー・エイド・システムの働きが印象的だ。その能力は高く、0-100km/h加速は4.8秒と、ライバルであるアウディRS Q4よりも0.7秒も速い。しかし、その直線のパフォーマンスがGLA45 AMGのすべてではない。優れたシャシーがもらたす乗り心地とハンドリングの良さこそGLA45 AMGの大きな魅力なのだ。

A45 AMGやCLA45 AMGと同じフロントがマクファーソン・ストラット、リアがマルチリンクというサスペンション・レイアウトだが、高い車高に合わせてスプリングやダンパーのセッティングが見直された結果、凹凸に対する吸収やリバウンドが向上しており、あらゆる状況下に於いて安定した乗り心地を示してくれる。

このGLA45 AMGは非常に安全なクルマである。コーナリングでも、グリップ・レベルが高いばかりではなく、充分なコミュニケーションがあり、突然とそれが失われるようなこともない。4WDシステムは、コーナーの立ち上がりで確実にリアにトラクションを与えてくれるのだ。

パフォーマンス自体を論ずるのならば、A45 AMGやCLA45 AMGのほうが上かもしれない。同じような価格で4気筒のパフォーマンス・モデルを探しているのなら、その2台のほうがピッタリと言えるだろう。しかし、そのハンドリングを含めて、取り扱いのしやすさという面からみればGLA45 AMGは最適な1台だ。

■「買い」か?

あなたがパフォーマンスについて特別な何かを求めるかどうかにかかっている。普段から扱いやすく快適なハイ・パフォーマンス・モデルを求めるのであれば、GLA45 AMGはまさに探していたクルマである。パフォーマンス、ハンドリング、乗り心地がうまくバランスされているのだ。

しかし、本当のSUVを求めるのであれば、GLA45 AMGは選択肢に入らないかもしれない。GLAはSUVというよりも、背の高いハッチ・バック的な要素が強いからだ。従って、レンジローバー・イヴォークのような本格的なSUVのライバルにはなりえない。また、もし、実用的なハイ・パフォーマンス・モデルを探していいるのであれば、来年の今頃発表されるCLA45 AMGステーション・ワゴンを待つのも手かもしれない。

(グレッグ・ケーブル)