【幻のトヨタ86】オープン市販化予定だった? トヨタが制作86コンセプトカー4モデル

公開 : 2021.08.02 05:45  更新 : 2021.10.27 21:53

新型GR 86が話題です。そんな86にはオープンモデルなど、市販化されなかった幻の86があったのです。

フルモデルチェンジ話題の86

text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

初のフルモデルチェンジで2代目に進化したトヨタ「86」が姿を現した。

ところで、86といえばこれまで、初代モデルをベースにした何台かの派生モデルがモーターショーなどで公開されている。

トヨタFT-86オープン・コンセプト
トヨタFT-86オープン・コンセプト    トヨタ

今回はそんな「市販されなかった幻の86」を紹介しよう。

市販化予定だった?オープンモデル

「FT-86オープン・コンセプト」として2013年のジュネーブモーターショーで世界初公開されたモデル。

ルーフを電動開閉式のソフトトップとした、4人乗りオープンカーだ。

トヨタFT-86オープン・コンセプト
トヨタFT-86オープン・コンセプト    トヨタ

このモデルは1台だけ作られたワンオフではなく、初公開から半年後の2013年の東京モーターショーではベース車を左ハンドルから右ハンドルへと変更したうえで、ボディカラーをホワイトから赤にイメチェンして日本公開されている。

リアフェンダーやトランクリッドなどBピラー以降はもちろんのこと、オープン化にあわせてフロントウインドウ周辺は標準車と異なる専用設計。

トランクリッド上にはクーペモデルとは異なるハイマウントストップランプも追加されている。

ショーカーながら実際に幌の開閉も可能に作られていて、ルーフからトランクへ滑らかにつながる幌を畳んだスタイルもエレガント。市販車と言ってもおかしくないほどの完成度だった。

何を隠そうこのオープンモデル、当時86の開発責任者を任されてたトヨタ自動車の多田哲也氏によると「真剣に市販化を検討していた」のだという。

市販モデルの生産を担うパートナーとしてトヨタとプロジェクトを進めていたのは、オーストリアのマグナ・シュタイヤー社。

同社は初のトヨタブランドの市販モデルとして現行「スープラ」の生産を担当しているが、実はトヨタとの共同プロジェクトはスープラが最初ではなく、この86オープンだったという。

そんな経緯もあり、このオープンモデルはコンセプトカーも市販を前提とした作り込みが施されていた。

しかし、実際に発売されることはなかった86の派生モデルだ。

スタイリッシュなシューティングブレーク

2016年5月、オーストラリアで公開されたのが「86シューティングブレーク・コンセプト」だ。

シューティンブレークとは、スポーツカーをベースに作られた3ドアのツーリングワゴンを示すジャンル。このクルマはいわば、86のスポーツワゴンである。

トヨタ86シューティングブレーク・コンセプト
トヨタ86シューティングブレーク・コンセプト

ルーフを伸ばした車体はBピラー以降だけの変更だけかと思いきや、よくみるとBピラー付近でも標準車とはルーフの高さが違うことがわかる。

積載性だけでなく後席居住性も高められており「後席頭上空間が約10cm増している」とトヨタは説明していた。

企画やデザインはトヨタのオーストラリア現地法人が担当し、製作は日本でおこなわれた。

オーストラリアの公開後、日本のイベントでも実車を公開。

当初は完全なるショーカーとして展示だけを目的に製作される予定だったが、実際にはしっかりと走れるように車体剛性やハンドリングもしっかりと確認しながら作られた。

自動車メディアにサーキット試乗までさせていると聞けば、その完成度の高さが理解できるだろう。

市販を前提としておらずあくまで純粋なコンセプトモデルだが、トヨタ自身が制作しただけにクオリティは抜群で、実際に発売されてもおかしくない水準だった。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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