【激レアなポルシェたち】911フラットノーズから924カレラGTS、GT1ストラーセン 後編

公開 : 2021.05.22 17:45

世界で最も認知度の高いスポーツカーといえば、ポルシェ911はその1台。他方で珍しい限定モデルも多数排出してきました。英国編集部が、その代表を振り返ります。

text:Chris Chilton(クリス・チルトン)
photo:Porsche(ポルシェ)/RM Auctions(RMオークションズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
珍しいポルシェ911といえば、930型911のターボ・フラッハバウ(フラットノーズ)も外せない。モータースポーツ前提のホモロゲーション・モデルとはいえないが、参戦規定を味方につけるためのデザインだった。

ポルシェ935/78、通称モビー・ディックと呼ばれるグループ5カテゴリーに該当するレーサーは、911のカタチに準じてボディがデザインされている。フラットノーズは、そのレーサーに与えられたシルエットの口実になった。

ポルシェ911 フラッハバウ(フラットノーズ)・ターボS(964型/1991年)
ポルシェ911 フラッハバウ(フラットノーズ)・ターボS(964型/1991年)

フラットノーズは、カスタマイズを施すポルシェ・エクスクルーシブ・マヌファクトゥールを介したオプションとして、1986年に登場。リトラクタブル・ヘッドライト付きの個性的なフロントマスクを、911に与えることが可能になった。

推計では、948台のフラットノーズが生産されている。英国ポルシェでも、1台がマスコミ用の広報車両として提供されていた。

このフラットノーズというコンセプトは、964型911の末期にも浮上。フラッハバウ・ターボSという名で、76台が製造されている。

ポルシェは911の各世代の幕を、スピードスターで閉じることも何度かあった。356にさかのぼっても、1950年代半ばから北米市場でスピードスターを発表している。ホットロッド風のフロントガラスと簡素な骨組みのソフトトップが特長だった。

軽量な987型ボクスタースパイダー

1989年、930型の晩期に登場したカレラ3.2 スピードスターは、356の歴史を想起させる。低く傾斜したフロントガラスと、ソフトトップを収納する軽量なプラスティック製のカウル、スピードスター・ハンプが与えられている。

ポルシェ自ら、晴天時のためのクルマだと表現しており、ソフトトップは風雨から完璧にはドライバーを守ってくれなかった。製造台数は2000台以上。多くがワイドなターボルック・ボディをまとっているが、ナローボディやフラットノーズも存在している。

ポルシェ911 カレラ3.2スピードスター(930型/1989年)
ポルシェ911 カレラ3.2スピードスター(930型/1989年)

ボクスター・スパイダーも、似た流れを持つ1台。987型のモデル後期に当たる、2010年に登場している。開閉に手間のかかるソフトトップは欠点だったが、当時のポルシェ製量産モデルとしては最軽量な1275kgのボディに、3.4Lのフラット6が載っていた。

希少なモデルに違いないが、現在でも6万ポンド(900万円)前後から入手は可能。安くはないものの、今回ご紹介する中では比較的手頃な部類に入るだろう。

FRのポルシェ924ならもっと安いとお考えかもしれないが、案外そうでもない。1970年代、911の3分の1の価格で変えるスポーツカーとして登場した924ながら、カレラの価値は別物だ。

924 カレラGTが登場したのは1980年。ル・マン24時間レースのホモロゲーション・モデルとして406台のみが作られている。GTの2.0L直列4気筒エンジンは、924 ターボと同じ。最高出力は213psだった。

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