【あとは坂を上るだけ】F1ルーキー、角田裕毅 不本意なレースを終えて 向上心を忘れずに

公開 : 2021.05.28 06:05  更新 : 2021.07.12 18:31

日本人F1ドライバー、角田裕毅は容赦ない壁に直面しています。課題を克服し、再び立ち上がることはできるか。

壁に直面する21歳のF1ルーキー

text:AUTOCAR UK編集部
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

2か月前、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅はプレシーズンテストで見事なパフォーマンスを見せ、注目が集まる中でF1シーズンに突入した。ホンダが期待を寄せる角田は、GPドライバーとしての資質を十分に備えていた。

開幕戦のバーレーンGPでは成績が振るわず、予選で一時17位まで後退したものの、見事な走りで9位まで挽回し、デビュー戦でポイントを獲得することができた。しかし、それ以来、状況は驚くほど悪化し、無線で発する言葉や攻撃的なスタイルが、誤った形で注目を集めるようになっている。

角田裕毅
角田裕毅

第2戦イモラの予選でクラッシュし、ポルトガルでは苦戦を強いられ、スペインでは予選16位に留まった後、テレビのインタビューで「自分のマシンは経験豊富なチームメイト、ピエール・ガスリーのものとは違うのではないか」という趣旨の発言をした。

自信を失った角田が、レッドブル傘下のアルファタウリチームとの気まずい空気の中(角田は自分の発言を後悔している)、次に赴いたのがモナコだった。

角田は、曲がりくねったモナコのコースを初めて経験するにあたり、「急ぐのではなく、ゆっくりと積み上げていかなければならないことがわかった」と語った。

角田はフリー走行2回目のセッションで壁に接触。レッドブルの手ごわいモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコからは、「規律を守ることを学ぶべきだ」と叱責された。

練習走行での失点を挽回することができず、決勝ではチームメイトのピエール・ガスリーと10位差の16位でフィニッシュした。モナコでの「リセット」はうまくいかなかったが、今後はどうするのだろうか?

才能をいかに咲かせるか

角田は、「日本人ドライバーを走らせたい」というホンダの意向で、早々にF1に昇格した。だからといって、時期尚早と判断することはできない。彼は、2018年に日本のF4で優勝し、翌年にはF3、2020年にはF2で勝利するなど、ジュニア時代の好成績でF1での地位を獲得した。F2でもう1年挑戦した方が得策だったかもしれないが、それでも彼は大きな印象を残した。

しかし、5月初めに21歳になったばかりの彼が、トップレベルでまだやるべきことがあるのは間違いない。

角田裕毅
角田裕毅

昨年、アルファタウリで初めてテストを行ったとき、最初は2018年仕様のマシンで、次にアブダビで2020年仕様のマシンでテストを行ったが、ルーキーを走らせることに慣れているチームのメンバーの間でも、彼の成熟度やアプローチには懸念があった。

冬の間、そしてシーズン前のテストでその懸念は払拭されたが、今シーズンのスタートに問題があったことで、事態はどちらに転ぶかわからない。

彼が能力とスピードを持っていることは確かで、あとはF1での厳しい環境にどう適応していくかだ。彼は、予想以上に困難だったことを認めているが、このような経験をしたドライバーは彼が初めてではない。ある者は厳しい教訓を受けて自分の力を発揮するが、ある者は軌道に乗らず、すぐにF1グリッドから滑り落ちてしまう。

彼には挽回のチャンスがある。F1では、空力が極限まで追求されているため、風の影響を受けやすく、また、予選でのタイヤの入れ方も非常に難しい。角田は、この2つの課題を克服することに苦労している。

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