【懐かしさと洗練さの同居】ランドローバー・ディフェンダー90 HSE P300試乗

公開 : 2021.07.12 06:25  更新 : 2021.10.11 14:49

ランドローバー・ディフェンダー90に試乗しました。懐かしさの同居する最新モデルは知的冒険心をくすぐる1台です。

大好評のディフェンダー 90はその真打?

photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

昨年7月に本邦デビューを果たしたランドローバーの新型ディフェンダー。

インポーターに尋ねたところ、その販売台数を公表することはできないらしく、「大好評と書いておいてください」とのことだった。ちなみに今注文すると、年明けくらいの納車になるようだ。

ランドローバー・ディフェンダー90 HSE P300
ランドローバー・ディフェンダー90 HSE P300    神村 聖

昨年7月に5ドアの110のガソリンモデルがデビューし、今年3月になって3ドアの90のガソリンモデルがデビュー。

今回の試乗会はこの90と、今年5月に導入されたばかりの110ディーゼルが用意されていた。

どちらのモデルも、これまでの「110ガソリン」よりマニアックな存在といえる。本稿では、コンパクトな90の印象をお伝えしようと思う。

4ドアと2ドアから選べるモデルは珍しくない。

だがディフェンダー90がとくに注目を集める理由は、それが1948年に誕生した原初のランドローバーの直系だからだろう。

デザイン・チーフを務めたジェリー・マクガバンによる「まず90のデザインをかため、その後ホイールベースを広げる」という作業は歴史的な流れに則ったものといえる。

今回われわれが試乗した個体は90のHSE P300だった。

300psを発揮する2L 4気筒ターボ+8速AT&副変速機というパワートレーンは90の全グレード共通。足まわりにはオプションのエアサスも装着されていた。

スタイリッシュとチョロQの狭間で

前後方向から眺める90の印象は110と何も変わらない。

それもそのはず、90の全長は110よりも435mm短いのだが、それはそのままホイールベースの短縮分と同じなのだ。

ランドローバー・ディフェンダー90(左)と同110(右)
ランドローバー・ディフェンダー90(左)と同110(右)    神村 聖

90という車名は初代ディフェンダーのホイールベースのインチ数(2286mm)に由来しているのだが、新型90のホイールベースは実は2585mmもある。

とはいえ、その数値がハチロクとほぼ同等なので、現代の2ドアクーペとしても妥当であることは間違いない。

横方向からの眺めは新型90のハイライトだ。

垂直と水平のラインが際立ち、オールドモデルの懐かしさと2020年代的洗練が同居する。110よりもオーバーハングの短さやタイヤの大きさが強調されるため、明るい色だとチョロQ的な可愛らしさも入り混じる。

オールドモデルとの最大の違いはドアの長さだ。

初代90のそれは110の前ドアと同じだった。これは初代90のリアシートへのアクセスがリアハッチ経由だったことに由来している。

ところが新型90は現代のクーペと同様に4ドアモデルより長いドアを備えている。

ただでさえクーペのリアシートはアクセスしにくい。新型90は車高も高いので、その乗降性は褒められたものではなかった。

だがそれは90を指名買いするようなクルマ好きにとって少しも問題にならないはずだ。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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