トヨタ・ヤリス・ハイブリッド

公開 : 2012.05.30 14:00  更新 : 2021.01.28 16:54

■どんなクルマ?

現在手に入れることができる一番安いハイブリッド・カーがトヨタヤリス・ハイブリッドが。その価格は14,995ポンド(186万円)で、これまで最安値だったホンダ・ジャズ・ハイブリッドよりも1,000ポンド(12.4万円)も安い。

電気自動車、あるいはハイブリッド・カーを含めても、ヤリスは最も良いCO2排出量を誇る。その79g/kmという値は、最近フェイスリストされたヒュンダイi20よりも5g/km低い。

ただし、トヨタは、このヤリス・ハイブリッドを脳に訴えるだけでなく、ハートに訴えるクルマとして造り上げようとしたようだ。その手始めがスタイリングで、スタンダードなヤリスよりも大胆なデザインがされたフロント・エンドがそれだ。また、以前のハイブリッドよりもパフォーマンス・ポテンシャルが上がったリチューンされたCVTは、自然な加速フィーリングをもたらしてくれる。

■どんな感じ?

これまでにプリウスあるいはオーリス・ハイブリッドを運転した経験があるドライバーなら、ヤリス・ハイブリッドをドライブしてもすぐに寛ぐことができるだろう。ヤリスは最も小さいクラスのクルマではあるが、トヨタ・ハイブリッドの味わいがそのまま受け継がれているからだ。

細かくエクステリアを見ると、トヨタのブルーのバッジと、そこに書かれた”ハイブリッド・シネルジー・ドライブ”のロゴを見つけることができる。内側にはEVモード・ボタンがある。ガソリン・エンジンと電気モーターが、最も効率の良いように動いているのだ。

そのハイブリッド・システムに搭載されるガソリン・エンジンは、先代のプリウスやオーリスに使われている1.8リッターから、最新のプリウスに使われている1.5リッターに変更されている。その広々とした内部は、トランク・スペースについても妥協することなく、286リッターの容量を誇る。

ハイブリッド・システムは3つの異なるドライブ・モードを選択することが可能だ。ノーマル、エコ、そしてEVの3モードだ。

EVモードでは、ジャス・ハイブリッドでは不可能な、電気モーターだけで走ることができる。それは、電気モーターからウィーンという僅かな音を奏でるだけだが、何か足の親指でスロットルを常に踏み込んでいないと駄目な感じがする。

エコ・モードも同様で、ハイブリッド・システムが回転を上げるのを好まないようで、痛々しいほど遅く加速と、雑音がドライバーにもたらされる。

一転して、ノーマル・モードはベストな仕事をしてくれる。安定したペースでヤリスは適切な加速を示してくれる。そして、そのスピードは速い。

しかし、組み合わせられるCVTギアボックスは少々残念な動きを見せる。通常の加速であれば問題なのだが、鋭い加速が欲しい時には応えてくれないのだ。
また、プリウス・ハイブリッド・システムが、静かに完璧にその仕事を行うのに対し、ヤリス・ハイブリッドは、絶えずボンネットの下に平均的な小型ターボ・ディーゼル・エンジンが搭載されているかのようなノイズが聞こえてくるのだ。

ヤリス・ハイブリッドのパフォーマンスを最大限に活かすためには、それに見合ったドライビング・スタイルが必要となる。そのベストな方法がストットルを穏やかに踏むということだ。

自分がどれだけ効率的にドライブをしているか、そして前輪に力を送っているエンジン/電気モーターの比率は、内部にあるスクリーンのグラフィックで確認することができ、また、それを見るのは楽しみになろう。シティ・ドライビングでは、およそ40%ぐらいが電気パワーだけでドライブできるのではないだろうか。

われわれがテストしたTスピリットというグレードは、27.0km/lという公称燃費で、3時間の走行で実際には23.0km/lという数値をマークした。ベーシックなT3とT4の公称燃費は28.6km/lと更に良い。実際の燃費は、賞賛されるべき数値だと言えよう。アップダウンの多い英国の道路でこの数値をマークしたのであれば、アムステルダムあたりの平らな道ならが、公称燃費と同等の数値を出すことはできただろう。

ヤリス・ハイブリッドの乗り心地、ハンドリングなどは、増えた重量、20mm長くなった全長、そして16インチのアロイ・ホイールが装着されたTスピリットであっても、コンベンショナルなエンジンが搭載されたモデルとほとんど変わりない。その乗り心地は良く、軽いが路面とのコンタクトをきちんと伝えてくれるステアリングなど、街なかを走る分には素晴らしいパフォーマーであると言える。

■「買い」か?

明らかに、ヤリス・ハイブリッドはパフォーマンスやドライバーとの関係よりも、経済性と快適性を第一に考えるドライバーをターゲットにしているモデルだ。そして、そう考える層をヤリス・ハイブリッドは完全に釘付けにする。乗り心地と快適性、そして取り揃えられた装備。そして、燃費も決定的に良い。その燃費は、ジャズ・ハイブリッドよりも低いだけでなく、フォードフィエスタ・エコネティックやフォルクスワーゲン・ポロ・ブルーモーションといった質素なターボ・ディーゼル・モデル達をも上回る。

ただし、エンスージャストが選ぶクルマではないことも確かだ。プリウスはオーリス・ハイブリッドと同様、あたなの脳はこのクルマを買ったことに賛成するかもしれないが、そのハートはお礼を言うことはないだろう。

(マーク・ティショー)

トヨタ・ヤリス・ハイブリッド

価格 14,995ポンド(186万円)
最高速度 166km/h
0-100km/h加速 11.8秒
燃費 28.6km/l
Co2排出量 79g/km
乾燥重量 1085kg
エンジン 直列4気筒1497cc+モーター
最高出力 98bhp
最大トルク 11.3kg-m(ガソリン・エンジン)+17.3kg-m(モーター)
ギアボックス CVT

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