【ID.3と近い運転体験】フォルクスワーゲン・ゴルフ(6) 現在と未来 長期テスト

公開 : 2021.08.01 09:45  更新 : 2021.09.01 16:03

純EVへの本格的なシフトが進む現在、8代目VWゴルフはバランスに優れたファミリー・ハッチバックといえるのか。長期テストを通じて確かめます。

積算4330km VWの現在と未来

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
先日、筆者はフォルクスワーゲン・ゴルフに代わるような、新しいフォルクスワーゲンへ乗る機会があった。純EVのID.3だ。フォルクスワーゲン製ハッチバックの、現在と未来、といった関係ともいえるだろう。

自動車が突入している電動化の流れは、混沌としている。2021年では、ガソリン車もハイブリッド車も、電気自動車も購入できる。フォルクスワーゲンのファミリー・ハッチバックとして優れているのは、ゴルフだろうか、ID.3だろうか。

フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 eTSI ライフDSG(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 eTSI ライフDSG(英国仕様)

ライバルモデルの中には、複数のパワートレインを用意するモデルもある。プジョー208は、内燃エンジン版と純EV版が選べるようになっている。

フォルクスワーゲンは純EV専用のプラットフォームを開発し、ID.というサブブランドを立ち上げ、モデルレンジの拡大に注力している。技術開発で得た内容を、より効果的に展開できると考えている。

8代目ゴルフとID.3を並べてみると、プロポーションが明確に異なる。ご存知の通り、ID.3ではバッテリーがフロアに敷かれ、ホイールはボディの四隅にレイアウトされている。ボンネットは短くグラスエリアは広い。

しかし全体的なフォルムを除くと、ボディサイズや存在感、クリーンなデザイン処理などはフォルクスワーゲンらしいし、2台で共通していることもわかる。

2台で共有する運転のフィーリング

ID.3の車内は、見かけ以上に広い。フロントに搭載されるエンジンから開放され、レイアウトの自由度が高くなるためだ。

ダッシュボードは、8代目ゴルフと同様にシンプル化されていて、デジタルモニターを中心に構成されている。実務的な造形だが、わずかにエモーショナルな処理も施されている。未来を強要されている印象もない。

最新のフォルクスワーゲン・ゴルフと並ぶフォルクスワーゲンID.3
最新のフォルクスワーゲン・ゴルフと並ぶフォルクスワーゲンID.3

さらに、筆者が8代目ゴルフからID.3へ乗り換えて1番強く感じたことは、運転のフィーリングが2台で非常に似ているということ。もちろん、純EVのID.3の方が静かだ。でもゴルフのeTSIも改良が施され、巡航速度では充分に大人しい。

ID.3は電気モーターの特性から、スムーズでレスポンスが良い。回生ブレーキの効きの強さで、運転スタイルが変化する点も特長だ。しかしそれ以上に、加速感や操縦性、質感といった走りの印象を左右する部分が似ている。

給油か充電をするまで、ゴルフとID.3で得られる体験は、かなり共有していると思う。感じられる違いよりも多い。

フォルクスワーゲンが初めて量産する純EVとして、ゲームチェンジャーと呼べるほどの技術的飛躍を感じられない、という批判的な意見もある。しかし裏を返せば、それはID.3の強みかもしれない。

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