新型トヨタGR86/スバルBRZ 半常駐で2社開発 なぜ先代よりも深い関係

公開 : 2021.07.17 12:30  更新 : 2021.10.27 21:53

新型トヨタGR 86とスバルBRZに対面。「奥深き」協業で生まれた2代目は初代より個性が明瞭となっています。

話題のGR 86&BRZ「ほぼ量産型」に試乗

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

待ちに待った、トヨタ「GR 86」とスバル「BRZ」の試乗チャンスが訪れた。

サーキット走行でのプロトタイプ試乗だが、試乗車は外装にカモフラージュ加工はいっさいなく、内装を含めて「ほぼ量産車」という状態だった。

スバルBRZ(青)/トヨタGR 86(赤)
スバルBRZ(青)/トヨタGR 86(赤)    前田恵介

開発の全容については、2021年4月5日にオンラインで開催された、GR 86のワールドプレミアで、トヨタのGRプロジェクト推進部CE(チーフエンジニア)の末沢泰謙氏と、スバル商品開発本部PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)の井上正彦氏が開発にかけた思いを語っていた。

今回、実車を見て、触れて、走って、そして末沢氏と井上氏など開発に携わった各部署の担当者たちから直接話を聞いて、2モデルがどう違うのか、その違いはどこから生まれたのかについて、じっくりと考えることができた。

まずは、2モデルが横、または縦に置かれた状態で見比べると、フロントグリルやヘッドライトの細部での意匠違いによって、GR 86は明らかに「攻めの姿勢」にみえる。

末沢氏、また担当デザイナーの松本宏一氏も「GRであること」の重要性を強調する。

そのうえで、スポーツカーは外観での第一印象が重要という根本論に立ち返り、GRになった86としての純粋なカッコ良さを追求したという。

「奥深い」協業 しっかり感じる2つの個性

一方、BRZには「上質さ」を感じる。

安定や安心をしっかり裏付けされた、毎日楽しく一緒に過ごすことができるスポーツカーが新型BRZだ。

スバルBRZ(青)/トヨタGR 86(赤)
スバルBRZ(青)/トヨタGR 86(赤)    前田恵介

試乗会場には、スーパーGT GT300クラスの出場マシンも展示されていたが、それと新型BRZプロトタイプを見比べて、「BRZはSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)ありきではない」ことをあらためて確認することができた。

こうして商品としてのコンセプトと、外観デザイン、そしてモデル名称から分かるように、「GR」という冠が「86」についたことで、2モデルは明確な差を持つことが必然になったことが分かる。

一方で、初代の「86」と「BRZ」がいわゆる兄弟車というイメージが強かった。さらにいえば、「BRZありき」という開発思想が強かった印象がある。

今回の2代目についても、初代と同様に開発、実験、そして製造をスバルが担当しており、トヨタは製品の企画やデザインについて、群馬県太田市のスバル開発本部内に半常駐するかたちで2社の協業体制を敷いてきたという。

初代「86」、「BRZ」でも2社は協業していたが、筆者が知る限り、今回の協業は当時の協業体制に比べて「奥が深い」

初代での開発の下地がしっかりできているうえに、2社それぞれが、このFRプラットフォームを使って「実現したいこと」がイメージしやすかったからではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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