【スーパーカーに並んだサルーン】フェラーリ328とアルファ・ロメオ・ジュリア 技術進歩を実感 前編

公開 : 2021.08.07 09:45

280psと274psで、ほぼ同等の加速性能

パワートレインの比較は、非常に興味深い。フェラーリ328 GTBが車両中央に横向きで搭載するのは、3185ccの自然吸気V8エンジン。5速MTを介して、後輪を駆動する。

最高出力は、7000rpmで274psを発揮する。最大トルクは5500rpmまで回して、30.7kg-mが得られる。今では驚くほどの数字ではない。

レッドのフェラーリ328 GTBと、ブルーのアルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ
レッドのフェラーリ328 GTBと、ブルーのアルファ・ロメオジュリア・ヴェローチェ

現代のジュリア・ヴェローチェの最高出力は、それを少し上回る280ps。328 GTBより排気量は1.2Lも小さいのに、同等の馬力を達成している。内燃エンジンの進化を知るうえで、わかりやすい数字といえるだろう。

1.0L当たり140psを実現している鍵が、ターボチャージャー。328 GTBより10.0kg-m太い40.7kg-mの最大トルクを得られるのも、ターボのおかげ。しかも発生回転域は1750rpmからと、すこぶる低い。

車重は81kgしか違いがない。フェラーリが1348kgなのに対し、アルファ・ロメオは1429kg。どちらも充分軽量だ。パワーウエイトレシオで見ると、328 GTBが202ps/t。ジュリア・ヴェローチェの方が、7ps/tだけ弱い。

結果、0-97km/hの加速時間は2台ともに5.5秒前後。ほぼ同等の加速性能を持つといっていい。

では実際に運転してみると、どんな違いを感じ取れるのだろうか。筆者の印象としては、ハイエンドのレコードプレーヤーでお気に入りのLPを聞くのと、スマートフォンの音楽ファイルを、高音質イヤフォンで聞くこととの違いに似ているようだった。

人間工学の進歩をまじまじと実感する

ジュリアの運転席に身を置けば、すぐに馴染める。手に届く場所に操作系がすべて整い、座面は程よく低い。ドライバーの体型は、あまり問題にならない。クルマがドライバーにフィットするようだ。

ステアリングホイールにレイアウトされたスタートボタンを押す。ずんぐりしたシフトレバーをスライドさせ、Dに入れる。ドラマチックな要素は特にない。アクセルペダルを踏めば、英国郊外の制限速度、97km/hまでもあっという間だ。

フェラーリ328 GTB(1985年/英国仕様)
フェラーリ328 GTB(1985年/英国仕様)

328 GTBに乗り換えると、30年間の人間工学の進歩をまじまじと実感する。筆者の身長は約170cmと英国では小柄な方で、天井の内張りに頭がこすれることはない。だが185cmある同僚は、当たってしまう。

モモ社製のステアリングホイールは固定式。腕をまっすぐ伸ばさないと握れない。角度は寝かされていて、いわゆる送りハンドルで回さないとタイトコーナーを曲がれない。ペダルの位置も、右ハンドル車ではだいぶ左側に寄っている。

しかし視線を下ろすと、クロームメッキが施されたオープンゲートから、美しい削り出しのシフトレバーが伸びている。正面には、7つのアナログメーターが並んでいる。眺めているだけで楽しい。

車内空間は想像以上に広々としている。フロントガラス左右のAピラーは細身で、前方視界も素晴らしい。

グッドウッド郊外に広がる、カーブの連続する一般道をイタリア生まれの2台が巡る。青いサルーンと赤いスーパーカーというコントラストが面白い。

この続きは後編にて。

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