【始まりのミドシップ】フェラーリ365 GT4 BBとマセラティ・ボーラ ミウラへ対抗 中編

公開 : 2021.08.14 17:45

1970年代に想像された未来的なイメージ

エンジンキャノピーは、両車ともにリアヒンジで巨大。マセラティは、エンジンの姿を確かめるのにカーペット敷きのカバーを外す必要がある。

365 GT4 BBのエンジンは、マレリ社製のディストリビューターと4基のトリプルチョーク・ウェーバー・キャブレターが露出し、スロットル・リンケージも美しい。他方のボーラのエンジンは全体的に黒く、華やかさは感じられない。

フェラーリ365 GT4 BB(1975年/英国仕様)
フェラーリ365 GT4 BB(1975年/英国仕様)

左右のBピラーには、小さなリッドが付いている。右側はクーラントのエクスパンション・タンク。左側は、予備のプラグとスパナ、ウェスなどが入っている。

フェラーリもマセラティも、乗り降りはしやすい。ボディは低いが、ドアは大きく開く。ボーラのダッシュボードは黒くボクシー。何用なのか記載のないスイッチ類が並ぶ、フェラーリの車内よりも暗い。

ステアリングホイールは太身で握りやすく、わずかにオフセットしたペダルは、ハイドロで75mmほど位置調整できる。小さなコブが沢山並ぶ長いシートは、ハンモックのように全身を包む。

見た目は居心地が良さそうだ。だがボーラのメカニズムは複雑で、オーナーを驚嘆させるほどの請求書がしばしば発行された。

365 GT4 BBの車内はボーラより少しコンパクトだが、デザインはクリーンで風通しの良い雰囲気がある。大胆な造形が与えられたドアの内張りやスイッチ類のデザインは、1970年代に想像された、未来的なクルマのイメージなのだろう。

シルキーなサウンドへ音色を変えるV8

フロントガラスは上下方向に高く、リアデッキ手前に取り付けられたガラス越しの後方視界も良好。多くの現代のファミリーカーより、全方向に視界は優れている。

ボーラのリアガラスは高い位置にあり、大きく傾斜していて後ろは見にくい。そのかわり、フェラーリの深く複雑なフロント・トランクと比べて、ボーラのリアには広めの荷室がある。

マセラティ・ボーラ(1973年/英国仕様)
マセラティ・ボーラ(1973年/英国仕様)

4本出しのマセラティのマフラーからは、アイドリング時はV8エンジンらしい、波打つようなノイズが聞こえてくる。控えめな6000rpmのレッドライン目掛けて回せば、洗練された、厚みのあるシルキーなサウンドへ音色を変える。

アクセルレスポンスは正確。トルクカーブはフラット。高めのギアを選んでも柔軟に回転し、ボーラは運転しやすい。

ドライバーの後方は金属製のリッドと2重ガラスで遮られ、鋭い加速時でもエンジンノイズは小さめ。5速MTのレシオ設定は賢明で、1速のまま80km/hまで息を呑む勢いで加速する。2速にシフトアップすれば、さらに130km/h前後に届く。

3速で全開にすれば、193km/hまで延びる。許される環境なら。あるいは、5速に入れて45km/h前後で流すこともいとわない。1000rpm程度の回転数で。

ボーラのシフトレバーのストロークは長いが、ゲートの位置を身体に覚えさせれば心地よく変速できる。クラッチは重いものの、漸進的につながる。

シトロエンと同様にハイドロ制御のブレーキは、不安ないほどに強力。だが、ヒール&トウをするには、反応が尖すぎる。左後方からハイドロのアキュムレータが発する、カチカチという高い音が聞こえてくる。

この続きは後編にて。

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