【ワンメイク・ラリーマシン】ボウラー・ディフェンダー・チャレンジレーサーへ試乗 前編

公開 : 2021.08.12 08:25  更新 : 2022.11.01 08:53

英国ボウラー社が仕上げた、新ディフェンダー90。ワイルドなワンメイクレース用ラリーマシンを、英国編集部が評価しました。

アマチュア向けワンメイク・ラリーイベント

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国ダービーシャーを拠点とする、ボウラー社。既存モデルのチューニングだけでなく、モータースポーツ向けの専用マシンを制作する技術者集団が開発したのが、今回試乗した最新のランドローバーディフェンダー90だ。

その名は、ボウラー・ディフェンダー・チャレンジレーサー。ワンメイク・ラリーの、ボウラー・ディフェンダー・チャレンジシリーズ用に制作された。

ボウラー・ディフェンダー・チャレンジレーサー(英国仕様)
ボウラー・ディフェンダー・チャレンジレーサー(英国仕様)

従来のディフェンダー・チャレンジは、2014年から2016年に開催されていた。走っていたのは、先代のディフェンダー90をベースとしたマシンだった。

そして2022年、新しいボウラー・ディフェンダーでチャレンジシリーズが復活する。参加対象となるのは主にアマチュア・ドライバーで、前回と変わらない。

シリーズから逸材が生まれれば、ダカールラリーなど国際的なクロスカントリー・イベントの参戦を、ボウラー社がサポートする可能性もあるという。

最新のチャレンジレーサーがベースとするのは、300psを発揮するガソリンターボ・エンジンを搭載した、ベーシックな3ドアの新ディフェンダー90。可能な限り、標準のままが保たれている。

従来のディフェンダーと比較して、新しい四輪駆動システムは相当に複雑。しかし、2019年にランドローバーはボウラーを買収している。そのおかげで、順調にマシン開発が進んだようだ。

JLRの開発施設へ立ち入れるボウラー社

ジャガー・ランドローバー(JLR)社は、1年ほど前に検証用のディフェンダーをボウラー社へ貸し出した。それ以降、衝突実験用の開発車両のほかに、2台のチャレンジレーサーが完成している。

「わたしたちは、必要になればJLRの開発施設へ立ち入ることが許されています」。と話すのは、ボウラーのゼネラルマネージャーで、ジャガー・クラシックの責任者を努めていた経験も持つ、カラム・マッケニー。

ボウラー・ディフェンダー・チャレンジレーサー(英国仕様)
ボウラー・ディフェンダー・チャレンジレーサー(英国仕様)

ボウラーとJLRとの関係は、メルセデス・ベンツメルセデスAMG F1チームとの関係に似ている。だが、規模は遥かに小さいと彼は説明する。実際、われわれが今いる場所もJLRのテスト用オフロードコースがある、英国フェンエンドの開発施設だ。

マッケニーが続ける。「車載システムへも簡単にアクセスが可能です。ですが、意思決定という側面が強いですね」。チャレンジレーサーを開発するには、JLRが開発した複雑な電子アーキテクチャへ、ボウラーが手を加える必要がある。

ボウラーは量産仕様のディフェンダー90を受け取り、ナンバーを取得してから開発作業を開始した。機械的な改良だけでなく、電子的なチューニングも同時に実行されている。

主任技術者のエイドリアン・グレゴリーが補足する。「わたしたちはベース車両の電子アーキテクチャへ、必要に応じて変更を加えます。例えば、標準ではエアバッグを外すとエンジンが始動しなくなるんです」。それは困る。

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