【なぜ?】4代目で失速 ホンダ・フィットが売れない4つのワケ

公開 : 2021.08.09 05:45  更新 : 2021.10.22 10:07

初代から3代目まで堅調に売れたホンダ・フィットが販売面で苦戦。売れない4つのワケを考察します。

フィット 4代目現行モデルで苦戦

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

今のクルマでは、安全装備や運転支援機能が充実している。

安全性が高まったのは喜ぶべきことだが、乗用車の価格は2000年頃に比べて1.2~1.3倍に高まった。

ホンダ・フィット
ホンダフィット

その一方で平均所得は1990年代の後半をピークに下がっている。

クルマが値上げされ、所得は伸び悩むから、ユーザーはクルマを乗り替えるときに、従来よりも小さな車種を選ぶ。

その結果、ダウンサイジングが進み、軽自動車と全長が4m前後のコンパクトカーが売れ筋になった。国内で販売される乗用車の40%弱が軽自動車で、約25%をコンパクトカーが占める。

そのコンパクトカーの主力車種がホンダ・フィットだ。

2001年に発売された初代モデルは、燃料タンクを前席の下に搭載して、空間効率が優れていた。全高を立体駐車場が使いやすい高さに抑えながら、室内がとても広かった。

価格も割安でヒット作になり、2002年には軽自動車まで含めた国内販売の総合1位になっている。

2代目と3代目も、同様の特徴を受け継いで堅調に売れた。

ところが4代目の現行フィットは売れ行きが伸び悩む。

発売は2020年2月だから、今は最も好調に売れる時期だが、2021年1~6月の登録台数は1か月平均で約5000台だ。

少ない台数ではないが、現行フィットを発売したときに設定した1か月の販売計画は1万台だから、今の登録台数は遠く及ばない。

ちなみに今の販売計画は一種の公約で、生産を終えるまでの平均値とされる。

発売から時間が経過すればクルマの売れ行きは下がるので、発売直後には、販売計画以上の台数を売らないと計画を達成できない。

それなのにフィットは、発売直後の販売実績が計画台数の約半数だ。

ホンダにとっては予想外の販売不振だから、その理由を考えてみたい。

賛否両論のデザイン 見た目で損してる?  

フィットの売れ行きが伸び悩む理由として、まず挙げられるのが外観のデザインだ。

現行フィットは前後左右ともに視界が優れ、コンパクトカーでは理想的なボディといえるが、フロントマスクを含めてデザインには賛否両論がある。

ホンダ・フィット
ホンダ・フィット    ホンダ

内装ではステアリングホイールが2本スポークになり、3本スポークを見慣れていると違和感が伴う。

クルマに限らず、商品の機能的な優劣と、売れ行きは必ずしも合致しない。

フィットの場合、車両のイメージを大幅に変えたことがマイナスに作用した。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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