【40系に続き、60系も】アメリカで高額落札 ランドクルーザーのオークション動向

公開 : 2021.08.29 19:45  更新 : 2021.10.11 10:52

ランクルの旧車が、北米のオークションで高額落札されています。SUV発祥の地で、クルマ好きを虜にする人気と、高値の要因を探りました。

旧車ランクル 近年まで庶民向けだった

執筆:Kazuhide Ueno(上野和秀)
撮影:RM Sotheby’s、GOODING&COMPANY

旧いランドクルーザーが世界中で値上がりしている。ランクルの名を広めた40系は1984年に生産が終了し、最終モデルでも37年が経過している。

日本の中古車情報サイトで40系のランクルを見ると、ボトムはそれなりの程度でも今や200万円台で、門外漢には驚きの値段になっていた。

1986年 トヨタ・ランドクルーザーFJ62(13万4400ドル:約1479万円)
1986年 トヨタ・ランドクルーザーFJ62(13万4400ドル:約1479万円)    Juan Rivas(GOODING&COMPANY)

レストアが行われたバリモノものになると「ASK」のプライスタグが掲げられ、事情通に聞くとその価格は500万円を優に超えているという。

40系ランクルを最初に認めたのはアメリカで、市街地を出れば広大な砂漠や草原が広がる国だけに、信頼性の高いツールとして愛用されてきた。

やがて40系ランクルはSUV発祥の地であるアメリカで、人間味のあるスタイリング、カスタムしやすい素朴な作りが受けて、趣味のクルマに変わっていった。

欧米での趣味車の相場を知るには、コレクターズカー・オークションを見るのが手っ取り早い。しかし大手のオークションハウスでは、中古車店に並ぶようなモデルは出品されず、レアな車両が主になっている。

40系ランクルは21世紀に入っても大手のオークションで姿を見せることはほとんどなく、庶民的なクルマを扱うオークションにしか出品されていなかったのである。

潮目が変わった2013年

大手のオークショニアとなるRMサザビーズ、ボナムス、グッディングの過去の出品データを確認したところ、40系ランクルは2011年のRMサザビーズで、2台が姿を見せただけだった。

しかし2013年になると一躍ポピュラーな存在となり、3社から合計9台が出品されるほどになり、コレクターズカー・オークションの定番車となった経緯がある。

1981年ランドクルーザーFJ45ピックアップ(16万8000ドル:約1848万円)
1981年ランドクルーザーFJ45ピックアップ(16万8000ドル:約1848万円)    The Classic Motor Company(RM Sotheby’s)

その結果を見てゆくと、ランクルの40系はアメリカで2014年のオークションバブル期には10万ドル超えで落札され、2016年頃からその価格帯で相場が形成される。

俳優が所有していた個体や、オリジナルを追求して入念にレストアされた良好なコンディションを保つランクルたちである。

たが、コロナ前の2019年には3~6万ドル程度に落ち着く。コロナ禍の2020年も同様の額で推移し、それは2021年になっても変わらない。

なお、ランドローバーが強いイギリスの競売では、ランクルの相場が高値のアメリカに比べて、半値以下で落札されるのが興味深い。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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