【古いのになぜ?】トヨタがカローラ・アクシオ/フィールダーを廃止しないワケ

公開 : 2021.10.05 05:45  更新 : 2021.10.22 10:06

旧型ベースのトヨタ・カローラ・アクシオ/フィールダーが廃止されない背景には「5ナンバー需要」があるといえます。

SUV仲間入り 多種多様カローラシリーズ

執筆:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

今、最も注目度の高い新型車は、2021年9月に発売されたSUVのカローラ・クロスだろう。

トヨタは以前からコンパクトSUVのヤリス・クロスとライズ、LサイズSUVのハリアーRAV4を用意していたが、日本に最適なミドルサイズはC-HRのみだった。

トヨタ・カロ―ラ・アクシオ
トヨタ・カロ―ラ・アクシオ    トヨタ

そのC-HRは、外観のデザインを優先させて、売れ行きが伸び悩んでいる。

そこでカローラ・クロスを投入した。ボディサイズが適度で価格も割安だから、受注も好調に推移している。

その結果、カローラシリーズの品ぞろえは膨大になった。

3ナンバー車では、カローラ・セダン、ワゴンのツーリング、5ドアハッチバックのスポーツがある。

5ナンバーサイズにおさまるセダンのアクシオとワゴンのフィールダーも健在だ。

新型のカローラ・クロスも含めると、カローラシリーズは6種類のボディをそろえる。

不思議なのは、2012年に発売された11代目のカローラアクシオ&フィールダーが、9年を経過した今でも継続販売されていることだ。

2019年に現在の新しい12代目カローラが発売されたとき、開発者は「アクシオ&フィールダーも継続するが、2年後(2021年)の半ば頃には終了するだろう」と語っていた。

設計が古いから当然だが、実際は今でも売り続けている。

しかも2021年9月には、衝突被害軽減ブレーキを進化させたので、今後もしばらくは廃止されない。

なぜ旧型を9年以上も造り続けるのか。

フィールダー/アクシオ 今も売れている

日本自動車販売協会連合会が公表する国内の登録台数では、「カローラ」として6種類のボディが合計されている。

そこでボディタイプ別の登録台数を算出すると、それぞれの販売比率は以下のとおりだ。

2021年1~8月におけるカローラ登録台数の内訳(カローラ・クロスを除く)

トヨタ・カローラ・フィールダー
トヨタ・カローラ・フィールダー    トヨタ

カローラ・ツーリング:43%
カローラ・セダン:17%
カローラ・スポーツ:15%
カローラ・フィールダー(継続生産):15%
カローラ・アクシオ(継続生産):10%

上記から分かるとおり、継続生産型のカローラ・フィールダーとアクシオを合計すると、カローラシリーズ全体の25%を占める。ここまで販売が堅調だと、設計が古いからといって廃止できない。

それならなぜ、発売から10年近くを経過するカローラ・フィールダーとアクシオが、今でも堅調なのか。

フィールダー、アクシオともにグレードはEXのみで、1.5Lのノーマルエンジンとハイブリッドは選べるものの、選択肢は乏しい。

どのようなユーザーが購入しているのか、販売店に尋ねると以下のように返答された。

「今のフィールダーとアクシオは、低価格グレードのみを販売している。そのために購入されるのは、仕事で使う法人のお客さまだ」

「購入費用をなるべく安く抑えたいとか、社内の規定で5ナンバー車以外は買えない法人もあり、3ナンバー車の新しいカローラではニーズに応じられない。そこで5ナンバーサイズのフィールダーとアクシオも用意している」

法人が使う営業車といえば、セダンのアクシオを思い浮かべるが、ワゴンのフィールダーにも需要があるのか。

「フィールダーは法人のお客さまが荷物を積む用途に使う。トヨタにはバンのプロボックスもあるが、4ナンバーサイズの商用車だから後席が狭い。車検も毎年受けねばならない」

「その点でフィールダーはワゴンだから、後席が広く、畳めば荷室を拡大できる。車検も初回は3年、その後も2年で面倒が少ない」

つまりカローラ・フィールダーは、法人がバンとして活用しているわけだ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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