【クーペボディのXC40】ボルボC40 リチャージ・ツインプロへ試乗 407psの純EV

公開 : 2021.10.28 08:25

車高の低いクーペ風ボディを与えられたXC40の兄弟は、純EVモデルのみの設定。最高出力407psを誇るトップグレードを英国編集部が評価しました。

基本的にはXC40のクーペ風モデル

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
クーペ風ボディをまとったクロスオーバーのC40 リチャージ・ツインプロは、純EVのみが用意されるボルボ初のモデル。今回試乗したのは、そのなかでもトップグレードに当たるツインモーターの四輪駆動、ツインプロ仕様だった。

C40には内燃エンジンが搭載されないものの、基本的にはXC40のクーペ風モデルといえる。ルーフラインが低められたシルエットのボディをまとい、プラットフォームもXC40と共通のコンパクトモジュラー・アーキテクチャを採用する。

ボルボC40 リチャージ・ツインプロ(欧州仕様)
ボルボC40 リチャージ・ツインプロ(欧州仕様)

XC40とC40は、ボディサイズもほぼ同じ。ホイールベースの2702mmと、全幅の1910mmはどちらも同値。全長はC40の方が6mmだけ長く、4431mmとなっている。一方で全高は1582mmで、69mmも低い。

今回試乗したボルボC40のツインプロは、前後に203psのAC同期モーターを1基づつ搭載し、主要コンポーネントをポールスター2と共有する。AWDの純EV、XC40 リチャージとも。追って、シングルモーター版も追加される見込みだ。

駆動用バッテリーの容量は78kWhあり、フロア下に敷き詰められる。急速充電器はDCで150kWまで対応。最短40分で80%の電気を蓄えることができるという。

クルマ側には11kWのAC充電システムが内蔵され、英国家庭のコンセントにつなげば約11時間でフル充電になる。航続距離はWLTP値で439kmと、充分な長さを持つ。

暴力的と感じるほどの動力性能

システム総合で407psもあるだけあって、動力性能は暴力的と感じるほど。アクセルペダルのストロークが長く、溢れんばかりのエネルギーの湧出量は調整しやすい。全体の25%程の領域を使えば、現実の交通の流れを余裕でリードできる。

それ以上踏み込むと、英国郊外の法定速度となる97km/hを余裕で超える領域まで、息を呑むような加速Gを生み出す。ツインモーターのC40の0-100km/h加速時間は4.7秒。これまでのボルボで、最も鋭い加速を実現した1台といえるだろう。

ボルボC40 リチャージ・ツインプロ(欧州仕様)
ボルボC40 リチャージ・ツインプロ(欧州仕様)

ダッシュ力には驚かされるものの、C40はスポーツカーではない。サスペンションは柔らかく、回頭させようとすると、ボディーロールやノーズダイブなどの姿勢変化が大きい。トラクションが不足気味になると、電子制御システムが即座に介入してくる。

車重は2185kgあり、濡れた路面では明らかなアンダーステアも出ていた。履いていたタイヤが、オールシーズンのピレリ・スコーピオンだったことも理由だろう。

C40にぴったりなのは、穏やかな運転。滑らかなベルギーの道路環境では、とてもしなやかで洗練された乗り味だった。車内は非常に静かで、高速道路を走らせてもAピラー付近から風切り音が聞こえるくらい。

回生ブレーキの効きを強く切り替えて、ワンペダルドライブも可能。非常にスムーズに発進し、カックンブレーキなく停止できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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