ポルシェ・マカン 2.0へ試乗 4気筒EA888型で264ps エントリーでも不足なし

公開 : 2021.11.14 08:25

小変更を受けたマカンのエントリーグレードへ、英国編集部が試乗。4気筒とはいえ、必要なすべてがあると評価します。

4気筒EA888型ユニットで264psを獲得

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ポルシェ・マカンのなかで、より高い注目を集める方といえば、やはりV6エンジン版かもしれない。だが、最も手の届きやすいところにあるのは、2.0L 4気筒ターボを搭載する方だ。

手が届きやすいといっても、お手頃とまではいえない。英国価格の場合、オプションレスの状態で4万7780ポンド(740万円)から。試乗車にはオプションがふんだんに選ばれ、5万7777ポンド(895万円)まで上昇していた。

ポルシェ・マカン 2.0(英国仕様)
ポルシェ・マカン 2.0(英国仕様)

マカンは2021年にマイナーチェンジを受けているが、2.0L 4気筒ターボ版もアップデートされている。2022年に姿を表すと予想されている、純EV版のマカンとしばらく併売された後に、引退するという。

エンジンはフォルクスワーゲン由来のEA888型ユニットで、最高出力264psを発揮する。従来から19psほどのパワーアップを果たした。最大トルクも、37.6kg-mから40.7kg-mへと太くなっている。

ポルシェによれば、0-100km/h加速に要する時間は9.4秒。最高速度は231km/hだという。エントリーグレードとして不足はない数字だろう。

マイナーチェンジといっても、見た目の変化はさほど大きくない。ウインカーの位置が変更されたフロントバンパーと、新しいLEDヘッドライトを獲得した程度。テールライトは、ボディ幅一杯に細いラインで点灯するようになった。

マイナーチェンジで車内はリフレッシュ

しかし車内へ入ると、大幅に手が加えられていることがわかる。センターコンソールの左右に並んでいた沢山のハードボタンは、タッチセンサー・タイプに置き換えられている。

シフトレバーの根本は、これまでレザーのブーツで覆われていたが、変更後は構造が顕になっている。シンプルな見た目へ統一するためだろう。マニュアルモード用のゲートもなくなった。

ポルシェ・マカン 2.0(英国仕様)
ポルシェ・マカン 2.0(英国仕様)

マニュアルモード自体は存在し、スイッチはステアリングホイール上にレイアウトされている。この位置が直感的だとは、いえないかもしれない。

現代の流行といえる、ピアノブラックのプラスティックがダッシュボードで大きな面積を占めているとはいえ、2014年の発売という時間経過は隠しきれていない。メーターパネル右側のモニターは小さく、ダッシュボード中央のタッチモニターの解像度は少々荒い。

スピードメーターとタコメーターはアナログのまま。といってもポルシェの場合なら、この方が良いと感じるドライバーも多そうだ。

走り出してみると、ポルシェ・マカンの動的能力には改めて感心させられる。エアサスペンションやアダプティブダンパーが備わらない、エントリーグレードでも。

エンジンはたくましく、車高の高いホットハッチのようにカーブの連続する道を駆け抜ける。確かに上級グレードと違い、スチールコイルのマカンは少々乗り心地が忙しない。それでも、大きな隆起部分やうねりを見事に吸収してくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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