マツダ新技術「コ・パイロット」体験 自動運転技術にある「マツダ思想」とは?

公開 : 2021.11.10 05:45

マツダ新技術「コ・パイロット」を体験。自動運転技術であっても他とはたしかに違うマツダの思想を解説します。

マツダ新技術「コ・パイロット」体験

広島県の山間部にある三次(みよし)市。盆地であるため、冬は寒く、夏は暑い。

ここにあるマツダ三次自動車試験場で、筆者(桃田健史)はこれまでにさまざまなマツダ車を走らせてきた。

マツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車
マツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車    マツダ

今回体験したのは、「CO-PILOTコンセプト」だ。

とはいえ、「CO-PILOT」とアルファベットで表記されても、ピンっと来る人はあまり多くないかもしれない。

そもそも、これをどう読むのかも分からないかもしれない。

「コ・パイロット」と読むのだ。

この「コ」とは、主役をサイドサポートするという意味が含まれている。

例えば、モータースポーツではラリー競技で「コ・ドライバー」という表現があるが、これは助手席でドライバーをサポートするナビゲーターを指す。

そのため、コ・パイロットとは副操縦士を指す言葉である。

だからといって、今回三次で体験したのは、マツダが新開発した「空飛ぶクルマ」ではなく、乗用車であるマツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車だ。

このクルマ、外観ではルーフ前方や、ボディサイドなど合計9個のカメラがあり、また車内ルームミラーの前にある画像認識用カメラは三眼(3連カメラ式)を採用するなど、外観では量産モデルとの違いが多少あるのだが、これだけではこれからどのような体験が待っているのか、予想できなかった……。

ドライバーの「意思」重視 独自の思想

走行の前に、マツダの商品企画本部主査の栃岡孝宏氏から 「コ・パイロット・コンセプト」の概要説明があった。

冒頭に出てきたのは「人間中心の安全技術」という言葉だ。

マツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車
マツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車    マツダ

「人が中心の安全技術で、ドライバー自らの意思で運転し自由に移動する『走る歓び』をサポートする」というのだ。

そう聞いても、なんだか抽象的で少し分かりにくいと感じた。

少し見方を変えてみると、「これは、昨今の自動運転技術に対して、マツダは別の考え方を持っている」という意味を込めているようにも思える。

それ以降、「コ・パイロット・コンセプト」に関する説明が15~20分間続いたのだが、最新技術の話というより、医学にも通じるような人に対する深い話、という印象が強かった。

技術的には、マツダのみならず自動車メーカー各社が研究開発を進めている、自動運転技術を活用した先進運転支援システムなのだが、「なんだか、他とは違うな」。

そんな思いを抱いたまま、技術試作車に乗り込んで試験場コースに出た。

体感したのは、大きく2つの場所で、2つの状態、あわせて4パターンだ。

2つの場所とは、高速道路と一般道路。2つの状態とは、強い眠気による居眠り状態と、体調の急変である。

そこでの「クルマの振る舞いを見て頂きたい」と、同乗したマツダのエンジニアはいった。

では、どんな振る舞いをしたのか?

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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