新型トヨタGR86 欧州仕様プロトタイプへ初試乗 称賛の予兆 前編 

公開 : 2021.11.21 08:25

2代目へ一新した、トヨタの手頃なスポーツクーペ。向上したトルクと操縦性のバランスを、英国編集部は評価します。

初代の素晴らしさが受け継がれた2代目

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
なにか強い印象を残してくれる日本人には、独特な予兆のようなものがある。ステージ上でのパフォーマンスでもそうだ。そんな心の高ぶりを、日本車からも感じることがある。

これから筆者が試乗する、新しいクーペもそんな予兆を感じさせてくれた。トヨタは、そんな気持ちを「ワクドキ」と表現しているようだ。

トヨタGR86 欧州仕様プロトタイプ
トヨタGR86 欧州仕様プロトタイプ

日本は英国と同じように、スポーツカーを愛する貴重な島国だ。モデルチェンジしたトヨタGT86に乗って、改めて実感した。結論を先にいってしまうようだが、本当にワクドキなクルマだった。

トヨタは、初代GT86にも通じるドライビング体験を提供するべく、2代目となるGR86の生産をスタートさせている。開発に共同で携わった、スバルの太田工場で。2022年5月には、英国にも上陸してくる。

果たして英国や日本以外でも、新しいGR86は受け入れてもらえるだろうか。GT86は、商業的には成功したとはいえなかった。だが、それを覆すほどの価値が2代目にはある。幅広い改善が施された、新しい世代が誕生した。

ドライビングフィールに、初代との明確な違いはない。むしろ、素晴らしさがそのまま受け継がれている。以前より奥が深く、可能性の高いキャラクターを獲得している。

2代目モデルは、GTではなくGRを名乗る。GRスープラやGRヤリスのように、開発を主導したのが、Gazoo Racing(ガズー・レーシング)だからだ。

新開発の自然吸気2.4L水平対向ユニット

GT86のように、レイアウトはフロントエンジン・リアドライブで、2+2のコンパクトなクーペ。高回転域まで滑らかな自然吸気の水平対向4気筒エンジンを低いボンネット内に積み、手頃な価格で提供される。英国では、3万ポンド(約462万円)を切るらしい。

この水平対向エンジンは、新開発の2.4L。シリンダーの内径は、86という車名の由来になった86mmから、94mmへ広げられている。

トヨタGR86 欧州仕様プロトタイプ
トヨタGR86 欧州仕様プロトタイプ

従来のGT86の体験を振り返ると、必要としていたのは扱いやすい領域でのトルクだったと思う。だが水平対向エンジンは本体の全幅が広く、大きなトルクを得やすいピストンストロークの延長が難しい。

GT86だけでなくGR86で、フロント・サスペンションがダブルウイッシュボーン式ではなく、マクファーソンストラット式となった理由も、エンジンの幅にあるという。そこでトヨタは、ピストンの直径を広げる手段を選んだのだ。

エンジンの吸気バルブを広げ、バルブタイミングもチューニングしてある。その結果、従来の2.0Lユニットより速いクランクスピードを叶えただけでなく、最大トルクを20%ほど高めている。大きなトルクが得られる回転域も落とされている。

ドアを開き、低い位置の座面へ腰を下ろす。トヨタによれば、シートはコンパクトながら、充分な横方向のサポート性を確保するとともに、長距離時の快適性を高めたとしている。少し低くなったルーフラインへ合わせるように、座面の位置も低くなった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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