オペル、16年ぶり日本再上陸へ いろいろあった過去 日本で優位に戦うには?

公開 : 2022.01.01 08:25

オペルは2022年、16年ぶりの日本再上陸。過去を振り返り、日本での新たなポジションを考えます。

日本含む20市場へ参入計画

2022年の注目の1つは、「オペル」ブランドの日本再上陸だ。

ドイツで生まれ、現在はステランティス傘下となっているオペル。

オペル・モッカ
オペル・モッカ    オペル

日本にも第二次世界大戦前の昭和初期から何度か上陸しており、直近では1993年よりヤナセとGMの手で販売されていた。

しかし、2000年代に入って販売は低迷し、2006年で日本市場から撤退している。

そして2020年2月、捲土重来を期する日本市場への再参入が表明されたのだ。

「日本の自動車市場は、世界でも最大規模の市場の1つです」

「そしてオペルは、ドイツ車として世界的に評価をいただいています。だからこそ、日本市場への再参入は、オペルが『PACE!』事業計画で掲げた、国際市場進出によるさらなるビジネス拡大の重要な一歩となるでしょう」と、オペルCEOのミヒャエル・ローシェラー氏はリリースにコメントを記している。

オペルの掲げる事業計画「PACE!」によると、オペルは2020年代半ばまでに、販売台数の10%を欧州以外の市場で得るという目標がある。

この数字の達成のためにオペルは日本をはじめ、アジアやアフリカ、南米など、20もの新しい市場への参入を計画しているというのだ。

ただし、コロナ禍の到来もあり、計画は先延ばしになり、結果的に日本への再上陸は2022年上半期へと繰り越しになっている。

「いろいろあった」オペルの歴史

オペルの創業は1862年と古く、なんと2022年で160年もの歴史を積み重ねてきたことになる。

当初はミシン、続いては自転車とビジネスを拡大してきたオペルは、1899年より自動車の生産をスタート。

自転車の生産で培った技術が生き、また、レースで活躍したこともあり、オペルの自動車は高い評価を得る。

1907年にはドイツ皇帝の専用車に採用されるほどであったのだ。

しかし、第一次世界大戦と、その後の世界恐慌の荒波に対抗するために、オペルはアメリカのGMの傘下に。

オペルはグループの一員としてGMの欧州戦略のメインプレイヤーとなってゆくのだ。

しかし、またもオペルを第二次世界大戦という戦火が襲う。GM資本は欧州から一時撤退するものの終戦後に復帰。

再びペルはGMの一員として欧州で活躍することになったのだ。戦後のオペルのキャラクターは「手ごろな価格のドイツ製実用車」というもの。

日本へ1993年から導入されたときも、アストラやヴィータなどの小さくて手ごろな価格のクルマが人気を集めた。

特にヴィータは200万円を切っていたことからヒット車となり、1996年はオペルとしては歴代最高となる年間販売台数3万8339台を記録。

これは当時としてはフォルクスワーゲンメルセデス・ベンツには届かないものの BMWよりも上。

つまり、1990年代のオペルは、日本市場で非常にメジャーな存在であったのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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