BMW iX xドライブ40 Mスポーツへ試乗 X5級の純EV 乗り心地はSクラス以上 

公開 : 2022.01.03 19:05

○:現在の同クラスでは群を抜く乗り心地と俊敏さ △:インテリアの人間工学 英国編集部が評価しました。

BMWの純EVでは3番目となるiX

個性的なフロントマスクが与えられた、BMWとしては3番目となる純EV、iX。そんな見た目も、乗ってしまえばさほど気にならなくなるかといえば、そうとも限らない。

これまでにBMWは、純EVとしてコンパクトカーのi3とミドルクラスSUVのiX3をリリースしている。今回試乗したiXは全長4953mm、全幅1967mm、全高1695mmとかなり大きいSUV。サイズでいえば、内燃エンジンを載せたX5と同等といえる。

BMW iX xドライブ40 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ40 Mスポーツ(英国仕様)

i3が2013年に発売された時、それ以外のBMWと比べてかなり急進的なモデルに思えた。iXのデザインも、それと似たような印象を受ける。

インテリアは、ボディのスタイリング以上に前衛的かもしれない。仕上げは良いと思う。伸びやかでシンプルなダッシュボードの中央には、横に大きいタッチモニターが立ち上がるように据えられている。

センターコンソールには、インフォテインメント・システム用のロータリー・コントローラーが残されていて使いやすい。クリスタルガラス風の豪華なアイテムで、ウッド仕上げのパネルとのコントラストが優雅だ。

ドアパネルには、厚みのあるパッドが裏打ちされている。パワーシートのスイッチは、このドアパネル側の上部へ移され、目で見て操作できる。

驚くほどに広々としている車内空間

一方でステアリングホイールは、円形というより6角形に近い。なぜこの形状にしたのだろう。幅のあるスポークは、リムで掴みたい部分へつながっているのも気になる。エアコンのインターフェイスが、大きなタッチモニターへ集約されたのも残念だ。

スピードメーターなどは、インフォテインメント用モニターと一体のように設えられた、ドライバー側のモニターへ表示される。アナログの丸いメーターは、もう選ぶことはできない。これが最もモダンなBMWのスタイルということなのだろう。

BMW iX xドライブ40 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ40 Mスポーツ(英国仕様)

車内空間自体は、前席後席ともに驚くほど広々としている。運転席からの視界も良い。だが、荷室のフロアは高い位置にあり、重い荷物は少し大変。なかなか一長一短だ。

試乗車は、iXのxドライブ40というグレード。前後に駆動用モーターが搭載された四輪駆動で、総合326psの最高出力を発揮する。

駆動用バッテリーはフロア下に敷き詰められ、実容量で71kWhある。航続距離は402kmがうたわれている。急速充電能力は、最大で150kWまで対応する。

英国価格は、この内容で約7万3000ポンド(約1109万円)から。オプションは別だ。

大きなSUVのボディに軽くないバッテリーを搭載しているから、iXの車重は2365kgある。ホイールは一番小さいものでも20インチ。オフロードで乗るタイプのSUVではない。環境負荷が小さい純EVだから、わざわざ自然へ踏み込む必要もないだろう。

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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