BMW i4 eドライブ40 Mスポーツへ試乗 純EVへの移行を後押し 339psの後輪駆動

公開 : 2022.01.04 19:05

おなじみの着座姿勢に巨大なモニター

航続距離を考えれば、2125kgの車重が重すぎるということはない。車体と同じくミュンヘンで製造される駆動用バッテリーは、冷却性やパッケージング、材料の配合比率などに優れ、i3のものよりエネルギー密度が40%も高いという。

加えて、レアアースと呼ばれる希少金属を用いていない点も特長。完全に再生可能エネルギーを用いて製造されているとも主張する。

BMW i4 eドライブ40 Mスポーツ(欧州仕様)
BMW i4 eドライブ40 Mスポーツ(欧州仕様)

i4のドアを開いて車内に腰をおろすと、目新しいデザインのなかに、見慣れたデザインも散りばめられていることがわかる。スポーツシートや各部のスイッチ、レバーなどは、3シリーズにも用いられているものだ。

ドライバーに向けて角度が付けられた大きなタッチモニターが、スリムなダッシュボードの上に鎮座している景色は新しい。様々な情報が表示されるメーターパネルもモニターでまかなわれ、インフォテインメント側も複数の表示状態を選択できる。

BMWがiドライブと呼ぶインフォテインメント・システムは、第8世代。代を重ねる毎に反応が素早くなり、直感的に操作できるようになってきている。

インテリア全体の質感は非常に高く、快適に過ごせるだけでなく、独特のオーラも感じられる。グランクーペと同様に座面は低く、着座姿勢はおなじみのもの。スポーティな印象もある。

フロントシート側の空間は充分に広い。リアシート側は、クーペ風のルーフラインということもあって、欧州体型の大人には少々窮屈。週末の子供と一緒のお出かけには、問題ないだろう。

BMWらしいペダルやステアリングの反応

i4を発進させて最初に感銘を受けるのが、BMWらしいということ。シングルモーターの太い初期トルクを活かし、シングルスピードのギアが組まれているものの、ステアリングホイールやアクセルペダルの反応は今まで慣れ親しんだものだ。

最新の純EVらしく、加速は鋭い。音も静か。アクセルペダルを放した時の回生ブレーキは、惰性走行に近いものか強力な減速感を得られるものか、2種類から選択できる。その中間はない。

BMW i4 eドライブ40 Mスポーツ(欧州仕様)
BMW i4 eドライブ40 Mスポーツ(欧州仕様)

BMWは走行時に人工音を与えているが、インフォテインメント用モニターでオフにできる。そうすれば、ほぼ無音で目覚ましいパワーを楽しめる。

内燃エンジンのBMWと同様に、舗装して時間が過ぎた路面ではロードノイズが大きい。しかし滑らかに落ち着いて、凹凸などはいなしてくれる。コンフォートでもスポーツ・モードでも、乗り心地は良いといえるだろう。

快適でありながらスポーティ。一部の純EVのように、うねりなどを通過した時に上下動が抑えきれないという様子もない。

BMWが純EVを作るにあたり、このプラットフォームへ施した努力が伝わってくる。3シリーズなどと比べて大幅に車重が増えていることを考えれば、なおさらだ。

BMWらしく、速く運転しやすいドライバーフォーカスの純EVサルーンが誕生した。i4 eドライブ40は、既存のBMWユーザーが内燃エンジンを諦め、モーターとバッテリーへ踏み出す決断をするのに不足ない仕上がりにある。

BMWが純EVへ寄せる期待は、実現するのではないだろうか。このi4なら。

BMW i4 eドライブ40 Mスポーツ(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万3405ポンド(約811万円)
全長:4783mm
全幅:1852mm
全高:1448mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:5.7秒
航続距離:590km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2125kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:80.7kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:339ps
最大トルク:43.6kg-m
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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