動的能力を磨いたツーリング ポルシェ・マカン Tへ試乗 走りに振った足腰+4発ターボ

公開 : 2022.04.14 08:25

高速域でのロードホールディング性が向上

2.0L 4気筒ターボの最大トルクは40.7kg-mもあり、1800rpmから得られる。クイックに変速をこなす7速デュアルクラッチAT(PDK)が、効果的にトルクを路面へ展開してくれる。回転数の上昇とともに、パワー感も高まっていく。

だが、息を呑むほど速いわけではない。滑らかに加速するが、ついオーバーブーストを効かせられる、スポーツ・レスポンスボタンを押したくなってしまうことも事実だ。

ポルシェ・マカン T(欧州仕様)
ポルシェ・マカン T(欧州仕様)

試乗車には、ブレーキ制御のトルクベクタリング・システムも備わっていた。たとえ控えめなパワーであっても、トラクションが不足気味な条件では有効だった。

引き締められたサスペンションの恩恵は、高めの速度域でのロードホールディング性に表れている。スポーツプラス・モードを選択すると、エアサスペンション装備車の場合、更に車高は10mmダウン。シャープな身のこなしが一層強まる。

一方で、細かな路面の乱れも逐一ドライバーへ伝えてしまう。穏やかな気分で運転したい場合は、ノーマル・モードが良いと思う。

2021年に施されたフェイスリフトで、マカンのインテリアは最新状態になっている。センターコンソールに並んでいたボタンは、タッチセンサー式に置き換わり、モダンな見た目を得た。

アンドロイド・オートには非対応だが、アップル・カープレイは利用可能。インフォテインメント・システムは、フォルクスワーゲン・グループのなかでは操作しやすい設計といえる。

動的能力を絶妙に磨いた狙い通りの魅力

4気筒エンジンのマカンは、優れた万能選手だ。入り組んだ市街地でも困らないボディサイズに、大人4名が比較的快適に過ごせる車内空間を備え、不満のない動力性能も備えている。穏やかに運転すれば、燃費も悪くない。

そんなベストセラー・モデルのヒエラルキーを乱すことなく、動的能力を絶妙に磨いたグレードが投入された。狙い通りの魅力を、マカン Tは得ていると感じた。

ポルシェ・マカン T(欧州仕様)
ポルシェ・マカン T(欧州仕様)

マカン Sほど強い主張はなく、ノーマルのマカンからアップグレードされた事実は、日常的な運転では気付きにくい。見た目を除いて。一方で、本領を発揮できるようなルートに出れば、より訴求力のある操縦性を味わえる。

4気筒エンジンのポルシェ・マカンを検討している腕利きのドライバーなら、Tへのステップアップは検討の価値があるだろう。

ポルシェ・マカン T(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万3970 ポンド(約863万円)
全長:4726mm
全幅:1922mm
全高:1621mm
最高速度:231km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:9.3-9.9km/L
CO2排出量:229-242g/km
車両重量:1865kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:266ps/5000-6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/1800-4500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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