トヨタRAV4のライバル キア・スポーテージ PHEVへ試乗 的を得たクロスオーバー

公開 : 2022.04.30 08:25

エンジンを始動させない運転も容易

スポーテージ PHEVのガソリンエンジンは、かなり静かに働いてくれる。追い越し加速時など、より多くの仕事を求めると不機嫌そうなノイズが響いてくるが、常用域でも加速力は充分たくましい。高回転域まで回す必要性は少ない。

駆動用モーターだけで走るEVモード時は、想像通り静か。アクセルペダルへ少し力を入れても、エンジンを始動させずに運転できる。よほど活発な加速を求めない限り、駆動用バッテリーに電気が残っていれば、ガソリンを燃やさずに済む。

キア・スポーテージ 1.6T-GDi ISG PHEV(英国仕様)
キア・スポーテージ 1.6T-GDi ISG PHEV(英国仕様)

プラットフォームは、ひと回り大きいSUVのキア・ソレントと同じN3と呼ばれるもの。マツダCX-5などと比べるとボディロールは大きめだが、批判するほど緩いわけではない。

乗り心地は今ひとつ。路面が荒れてくると、サスペンションが処理しきれず、車内へ振動が伝わってきてしまう。居心地の良いインテリアには、似合わない。

その原因と思われるのが、スポーテージ PHEVで標準となる、19インチ・ホイールに235/50という大きめのタイヤ。シャシーは、バネ下の重量と車重とをまとめきれない様子。それ以外の質感が上々なだけに、少しもったいないと感じた。

実用的で的を得たクロスオーバー

キア・スポーテージ PHEVの価格は、GTラインで3万8295ポンド(約612万円)から。最上級のGTラインSでは4万3795ポンド(約700万円)と、お手頃とはいいにくい。英国では、会社からの貸与車両として乗られることが多いと考えられる。

複数のパワートレインから選べる、キア・スポーテージ。平日の通勤だけでなく、家族との週末にも使えるクルマを、貸与車両で選ぶのは当然だろう。実用的で乗りやすいクロスオーバーとして、的を得た仕上がりとはいえそうだ。

キア・スポーテージ 1.6T-GDi ISG PHEV(英国仕様)
キア・スポーテージ 1.6T-GDi ISG PHEV(英国仕様)

キア・スポーテージ 1.6T-GDi ISG PHEV(英国仕様)のスペック

英国価格:4万1795ポンド(約668万円)
全長:4515mm
全幅:1865mm
全高:1645mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:89.2km/L
CO2排出量:25g/km
車両重量:1560kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:13.8kWh
最高出力:264ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:6速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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