航続距離1000kmの近未来 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX 試作車へ試乗 前編

公開 : 2022.04.24 08:25

空気力学に優れたボディのCd値は0.17

スタイリングで一番印象的なのは、リア周りだろう。細長いテールライトが、ボデイ両サイドの下から大きなアーチを描いている。下部にはディフューザーが付いていて、ドラッグを減らす目的で伸縮できるようになっている。

空気抵抗を示すCd値は0.17と、驚くほど低い。メルセデス・ベンツが公道用ナンバーを取得したクルマとしては、過去最小値とのこと。

メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX プロトタイプ
メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX プロトタイプ

これに貢献しているのが、小さな正面面積。2.12平方メートルしかない。空気力学の技術者、テディ・ウォル氏が説明する。「典型的な高速道路では、バッテリーのエネルギーの最大65%が空気抵抗によって消費されます」

参考までに、メルセデス・ベンツEQS 450+の場合、Cd値は0.20。正面面積は2.51平方メートルある。

ビジョンEQXXの全長は4977mmで、全幅が1870mm、全高は1350mm。EQSより31mm長く、91mm狭く、162mm低い。ホイールベースは2800mmとのことで、310mmも短い。

ボディ構造にカーボンファイバーを、ブレーキディスクにアルミニウムなどを採用し、車重は1755kg。このサイズの純EVとしては、かなり軽いといえる。

メルセデス・ベンツ・デザインセンターの駐車場を軽く流している限り、ビジョンEQXXは非常に静か。車内にはレザーシートが4脚据えられている。速度が高まるほど、駆動用モーターから電気的な唸り音が響くようになる。

といっても、現在販売されている一般的な純EVと質感的には遜色がない。メルセデス・ベンツの量産モデルのよう、といっても過言ではない。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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