電動時代へ幸先の良い仕上り マツダCX-60 PHEVへ欧州試乗 運転を楽しめる新SUV

公開 : 2022.05.03 08:25  更新 : 2022.05.03 10:48

ブランド初のPHEVとなる中型SUVのCX-60。ドライビング体験や内装など、マツダらしい特長を英国編集部は評価します。

RAV4アウトランダーと直接対峙

運転席に座り、ベストなシートポジションを探す。パワーシートならボタンを傾ける程度の作業とはいえ、別の人が乗った後だと、しっくり来る姿勢へ整うまで少々手間だったりする。

そんな不便を、マツダCX-60は解消した。顔認証技術を搭載し、運転席に座った人を判別。前回のシートポジションへ自動的に合わせくれる。ドライバーは、買い物リストやレストランのメニューを考えていれば大丈夫だ。

マツダCX-60 AWD ホムラ・オート(欧州仕様)
マツダCX-60 AWD ホムラ・オート(欧州仕様)

しかも、マツダの技術者が研究した最適な運転姿勢を、CX-60が提案してもくれる。筆者へは完璧にフィットしたわけではなかったが、人によっては目からウロコな運転姿勢に落ち着けるかもしれない。

クルマ全体として考えれば、ちょっとした仕掛けに過ぎない。だが、友人と話題にしたくなる機能でもある。

ミドルクラスのSUVに相当する新しいCX-60は、マツダ初のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)。少なくない投資と期待が込められている。トヨタRAV4 PHEVや三菱アウトランダーPHEVといったモデルと、直接対峙することになる。

CX-60は、スカイアクティブ・マルチソリューション・スケーラブル・アーキテクチャと呼ばれる、まったく新しいプラットフォームを採用。北米市場には、追ってワイドボディのCX-70も投入される。さらに、大家族も喜ぶ3列7シーターのCX-80も控えている。

マツダ量産車として最強の327psと50.9kg-m

マツダが量産した公道用モデルとしては、最もパワフルであるという点も興味深い。フロントに縦置きされる2.5L直列4気筒エンジンと、136psの駆動用モーターの力が融合し、最高出力327ps、最大トルク50.9kg-mを発揮する。

駆動用モーターは、エンジンとマルチプレート・クラッチを採用した8速ATとの間に搭載される。このATはスリップ率が少なく、トルクコンバーター・タイプと比較して、エネルギーロスが22%も少ないとのこと。

マツダCX-60 AWD ホムラ・オート(欧州仕様)
マツダCX-60 AWD ホムラ・オート(欧州仕様)

駆動用バッテリーの容量は17.8kWhあり、プラットフォーム中央、フロア下に敷き詰められるスケートボード・レイアウトが取られる。PHEVだからケーブルをつないで充電が可能で、7kWの速度なら2時間20分で満充電になる。

駆動用バッテリーとモーターだけで走れる距離は、最長62km。RAV4 PHEVの74kmより短いが、充分な長さではある。

インテリアの設えば、近年のマツダらしい。大きなモニターがダッシュボード上に備わるが、今どきとしては珍しくタッチモニターではない。手の届きやすい位置へ、エアコン用の従来的なスイッチが並んでいる。

センターコンソールには、ロータリー・ダイヤルとボタンで組み合わされたインフォテインメント・システムの入力デバイスが配され、驚くほど使いやすい。フォルクスワーゲンなど、タッチモニターに依存するシステムへ疑問を抱くほど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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