日産「サクラ」発表 軽の最新EVで、電気自動車は普及するのか? 試乗編

公開 : 2022.05.20 14:15

軽の新型EV「日産サクラ」取材。後編は試乗レポートです。軽ターボ車の2倍のトルクと「eペダル・シフト」の走りは? 充電・給電についてもご紹介します。

デイズ・ターボ車の2倍のトルク

執筆:Hajime Aida(会田肇)

さて、いよいよテストコースでの試乗に入る。

試乗車は最量販グレードと見られる「X(239万9100円)」で、ここにEV専用Nissan Connectナビゲーションをプラスした仕様となっていた。

日産サクラ・プロトタイプ(実際に販売される車両とは仕様が異なります)
日産サクラ・プロトタイプ(実際に販売される車両とは仕様が異なります)    前田惠介

サクラに搭載されたドライブモードは「Eco」「Standard」「Sport」の3つ。最初はEcoからスタートしてみた。

もっとも加速力を抑えたモードということだったが、これでも軽自動車とは思えない力強い加速を見せ、アッという間に常用域の速度を超えていた。

それならばと次はSportモードへ切り替える。

すると身体がシートに押さえつけられるような強力な加速で速度を上げていく。ターボ付き軽自動車の領域どころの話ではない。これは、もはや軽自動車としては“異次元”の世界だ。

実はサクラの最高出力こそデイズのターボ車とは変わらない47kW(64ps)だが、これは軽自動車としてのスペック上の制限があるから。

一方で最大トルクでの規制はない。その結果、サクラは195Nm(19.9kg-m)という強大なトルクを獲得することとなった。

デイズのターボ車が100Nmなので、実にその約2倍ものトルクをたたき出しているというわけだ。

しかも、バッテリーがフロアに入っていることで、重心が低く、高速域に入っても抜群の安定感を見せる。

ただの軽ではない どんな乗り味?

コーナリングでも、フロントの高い剛性によってしっかりと路面に食いついている印象だ。

聞けば最適な位置でモーターをマウントするために、ボンネット内部にはユニットメンバーを新設している効果なんだそうだ。しかも静粛性も高い。

日産サクラ・プロトタイプ(実際に販売される車両とは仕様が異なります)
日産サクラ・プロトタイプ(実際に販売される車両とは仕様が異なります)    前田惠介

コーナリングでこそややロールが大きめで、シートの柔らかさが気になったが、eペダルのアシストのおかげで楽にコーナリングを曲がって行ける。

この日の試乗でもほとんどがノーブレーキでコーナーを抜けることができた。やはりeペダルを味わってしまうと、この“魔法”からは抜け出すことはできない。

軽自動車とは思えないドッシリ感から生み出される乗り心地の良さを実感すると思う。

では、搭載したバッテリーについてはどうか。

実はサクラは身近なEVとして、後から補填される補助金を差し引くと実質200万円を下回る価格で購入できる。

ただ、これはEVでもっともコストがかかるバッテリー総電力量を20kWhに抑えた結果、実現できたことでもある。

そのため、航続距離は最大180km(WLTC)にとどまり、エアコンなどを使うことを考えれば120~140km程度が実用的な航続距離となるのではないだろうか。

また、充電は家庭でもできる普通充電(200Vあるいは100Vにも対応)以外に、急速充電にも対応した。

記事に関わった人々

  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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