JLR、2つの最新のテクノロジーを公開

公開 : 2014.07.10 22:55  更新 : 2017.06.01 02:12

JLRが市場への投入を目論んでいた2つの新技術であるバーチャル・ウインドスクリーンとレーザー・ガイダンスが発表された。

これら2つは従来型の機器とヘッドライトの終焉を告げることになるのだという。

英国はゲイドン、ウォリックシャーに位置するJLRのリサーチ・アンド・ディベロップメント・センターは ’バーチャル・ウインドウスクリーン’ と、レーザーを用いた照射技術、さらには誘導装置を開発したと発表したのだ。

JLRの研究者であるポール・ウィダウスンは構造化光法(光を照射して物体形状を把握する方法のひとつ)を用いて、車体前方に見受けられる通常の路面と、荒れた路面の両方を映写するというデモンストレーションを行ってくれた。

格子状とボックス状の2種類のレーザーを用いて、車幅と同じ寸法で数メートル先を照射する実験を並行して進めているのだという。この技術の恩恵を受けて、混雑した路上などで実際に通り抜けができるかを正確に把握できるのである。

また同様の方法で、路面に矢印のマークを照射することにより、従来のウインカーよりもさらに視認性豊かに車両の進む方向を他車に知らせることもできる。その他にも構造化光法は前方の水たまりの深さや、オフロードにおける路面状況もドライバーに伝えてくれるのだ。

理論的には、可変サスペンション機構のために正確な路面情報を伝達することにも役立つことになる。レーザー照射による認識力の精度の高さは、つまるところより安全な車庫入れや歩行者回避にも大いに力を発揮することになる。

ひょっとするとレーザー技術が最も大きな革新をもたらすのは、従来のヘッドランプ・ユニットの代替としての役割なのかもしれない。小型化されたユニットから発せられるビーム光は、例えば、ハイビームにすることなく暗い道路を照らすもできるのだ。

また光ファイバー・ケーブルと繋がるユニットから照射するレーザー光は、今までのユニットよりかなりの省スペースで済むのである。つまりよくよく考えてみれば、自動車デザインの自由度も飛躍的に拡大してくれることになるのだ。仮に歩行者と衝突事故を起こしたとしても、小さいユニットならば使用されるガラスそのものも少量なのだから、怪我を軽減させられることにもなる。

0.5ℓほどの容量で2500ルーメンものパワーを持つ試作品の制作に関して、既にサプライヤーと話を進めているのだとウィダウスンは言う。

また一方のバーチャル・ウインドウスクリーンが採用されれば、衛星ナビゲーション・システムやドライバーへの警告、今までインストゥルメント・パネルに表示していた多様な情報をフロント・ガラス上に表示させることができる。

もちろん今までにもフロント・ガラス上に情報を表示する機能もあったのはご存知のとおりだろう。しかしながら、従来のものはガラスのほんの一部分のみのことに限られていたのだが、JLRのそれは情報をスクリーン全体に映し出すのだという。また、サーキット走行時には正しいライン取りやブレーキング・ポイントを示してくれたり、擬似パイロンも表示してくれるそうだ。

さらにジェスチャーによる操作(サンルーフの開閉は実演してくれた)や、目下の町並みを3Dによって再現する機能の開発にも着手済みである。

また将来的には携帯電話と同調して、ドライバーの予定や道路状況や天気予報を自動的に表示させるシステムも投入する予定だそうだ。この機能が実際に備われば、寒い日には予め車を温めてくれることになるし、更にはシート・ヒーターやステアリング・ウォーマーも自動的に動作させてくれることになるかもしれない。個々のドライバーに最適なシート・ポジションや音楽の趣向までも、ボタン操作をすることなく引き出してくれる事にもなる。

スマート・ウォッチやリスト・バンドを用いれば、ドライバーの気分や体調を考慮してクルマ自身が最適化してくれるようになる、そんな ’未来のクルマ’ は、すぐそこにあるのだ。

おすすめ記事