ルノー・メガーヌR.S. 275トロフィー

公開 : 2014.07.24 23:50  更新 : 2021.03.05 21:35

■どんなクルマ?

最高のホットハッチの1台として猛威を振るい続けるメガーヌR.S.。名実ともに高い支持を得つづけ、今もなおその勢いは衰えることはない。

ただし天下のルノーも油断は禁物、つい最近ローンチされたセアト・レオン・クプラ280は、ルノーの独裁政権を揺るがす勢いなのである。

その月桂冠を何としてでもセアトに渡したくはない、と言わんばかりにルノーはメガーヌR.S.の最上級グレードにさらなるチューンを施した275トロフィーを市場に投入したのだ。

数多のグレードアップが施されている傍ら、フロント・バンパーの変更や、アクラポビッチ製チタニウム・マフラーなど周囲の注意を引く仕掛けにも抜かりはない。それだけではなく、’カップ・パッケージ’ がこのモデルには標準採用されているのだ。したがって、LSDや、引き締められたスプリング、ダンパー、スタビライザーが最初から装着されて納車されることになる。

メガーヌがもともとボンネット下に収める2.0ℓターボ・エンジンは、さらに10ps鍛えあげられ、最終的には275psを発揮するに至った。またそれに伴いパワー・バンドとトルク・バンドも拡大されている。

■どんな感じ?

ひとつの目標のためだけに、上に記した改良を施したと言っても過言ではない。ルノーを、切れ味鋭く、俊敏に、そして熱狂的なクルマにするために。その結果、皆さんの期待通り、これらの改良は見事に功を奏したのである。

特にコントロール性、そしてドライバーとのコミュニケーションは群を抜いている。そして電子制御のステアリングであるにも関わらず、アルカンターラのステアリング・ホイールを介して、豊富な情報量を伝えてくれるのだ。

スロットル・レスポンスもまた秀逸で、わずかな力の加減にも適切に反応する。クラッチにも曖昧さはない。またブレーキの制動力は高く微妙なニュアンスをしっかりと反映してくれる。

フロント・エンドの強力なグリップと、多大なトラクション、さらには見事なボディ・コントロールのおかげで、高速域での気持ちよさは筆舌に尽くしがたい。

ターボ・エンジンは1、2速では6800rpmまで淀みなく回転してゆき、高いギアでもそれは変わらない。0−100km/h加速は、標準のルノースポールと変わりはないのだが、5000rpmまでの体感速度は275トロフィーの方が速く感じられる。

アクラポビッチのマフラーは、ドラマ性を一段高いレベルに引き上げる。またアクセル・ペダルを離した際のバックファイヤーの音も、実にその気にさせてくれるのである。締めあげられたサスペンション、LSD、モディファイが加えられたシャシーのなす、共同作業はもはや感嘆の域に達していると言えよう。

しかしメガーヌの最も素晴らしい点は、その扱いやすさ、に集約されると言えるだろう。特別なライセンスや運転スキルが無くとも、そしてさほど速い速度でなくとも、メガーヌを操ることを心から楽しむことができるのだ。

それだけではない、メカニカルなパーツにも華奢な雰囲気はなく、いかにも耐久性が高そうだし、またデュアル・ゾーン・オートエアコンや、衛星ナビゲーション・システム、実用性をもつ後部座席に、十分なサイズの荷室容量など日常的に必要な機能を全く犠牲にしていないのだ。

4年間、あるいは16万キロまで保証がつく点にも、ルノーの自信が伺える。またわずか£95(1万4千円で)スペア・タイヤを備え付けることも出来る。

それでもルノーは飽きたらず、さらにハードコアな体験を求めるため、パフォーマンス向上の名の下に、可変ダンパーやサーキットに特化したタイヤを組み合わせた軽量版のトロフィーRを用意しているという。

一方、ラフな路面での乗り心地はあまりに硬く、ホットハッチの大凡がそうであるように、前輪駆動しか用意されていない点などほんのわずかに気になる点もある。

また、レスポンスを向上させ、スタビリティ・コントロールを解除するためのスポーツ・ボタンが非常にわかりづらいところにあることも改善の必要がある。

■「買い」か?

より速く、経済性が高い、モダンで洗練した印象を与えるセアト・レオン・クプラ 280の価格は£27,210(403万円)。この価格はメガーヌR.S.よりも£1,720(25万円)安いのである。

またフォルクスワーゲン・ゴルフRやM135はもっと成熟しているし、洗練度合いもワンランク上だ。日常での使い勝手も十分に優れる。

多くの人は、£3,000(44万円)安価な、標準のルノースポールでも満足できるかもしれない。仮にカップ・パッケージを欲したとしても、£1,350(20万円)を支払えば標準車にも取り付けることはできる。

では、275トロフィーの存在意義は何なのか。

それは、ドライビングに対する純粋さ、速さ、そして頭ひとつ抜けた熱狂性なのだ。そこを受け入れることができ、純粋にドライビングに打ち込みたいならば、275トロフィー以外に選択肢はない。

(ルイス・キングストン)

ルノー・メガーヌR.S. 275トロフィー

価格 £28,930(500万円)
最高速度 254km/h
0-100km/h加速 6.0秒
燃費 13.3km/ℓ
CO2排出量 174g/km
乾燥重量 1376kg
エンジン 直列4気筒1998ccターボ
最高出力 275ps/5500m
最大トルク 36.8kg-m/3000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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